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イントロダクション

 
世界中の映画祭を席巻し、圧倒し、叩きのめし、26の賞を獲得!力強い筆致で描かれる重厚で壮大な人間ドラマ。

カンヌ国際映画祭脚本賞、ゴールデングローブ賞外国語映画賞など多数受賞、アカデミー賞®外国語映画賞にもノミネートされ、各国の主要映画祭を席巻した『裁かれるは善人のみ』。監督は『父、帰る』で、デビュー作にしてヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝き、続く『ヴェラの祈り』『エレナの惑い』と2作連続でカンヌ国際映画祭で賞を受賞した、世界が認めるロシアの鬼才アンドレイ・ズビャギンツェフ。ロシア北部バレンツ海に面する荒涼とした小さな町を舞台に、そこで暮らす善なる市井の人々と、権力を振りかざして土地の買収をもくろむ行政との対立を描く。そこから数珠繋ぎのように悲劇的に綻んでいく人間模様──。罪のない人に降りかかる、抗っても決して勝つことのできない非情な程の困難。秀逸な構図と、ロシアの広大で荘厳なロケーションが、人と国家と神、そして悪についての深淵で普遍的な物語を際立たせる。

権力をまとった陰謀か、無慈悲な神の裁きか──静かな入り江の町に人々の嘆きがこだまする。

入り江のある小さな町。自動車修理工場を営むコーリャは、若い妻リリア、そして亡妻との間に生まれた息子ロマと共に、住み慣れた家で暮らしている。1年後に選挙を控えた強欲な市長のヴァディムは、とある計画のため権力に物をいわせ、彼らの土地を買収しようと画策する。自分の人生のすべてともいえる場所を失うことが耐えられないコーリャは、強硬策に抗うべく、友人の弁護士ディーマを頼ってモスクワから呼び寄せる。そして漸く市長の悪事の一端を掴み、明るみに出そうとするのだが……。穏やかだった海はすべてを飲み込むかの如く荒々しく姿を変え、潮が引いた海辺には、巨大なクジラの白骨が横たわる。圧倒的な自然の前で人間が非力なように、欲が肥大化した権力を前に闘うコーリャもまた、なすすべもなく打ちのめされていく。正直に生きる矮小な人間に、神は味方をするのだろうか──。

実在の事件、数々の書物から浮かび上がる“義人の苦難”難作をまとめあげた監督、キャスト、スタッフを世界が賞賛!!

本作は、アメリカで実際に起きた土地の再開発をめぐる悲劇的な事件をベースに、無実の罪を問われて財産を奪われた男の物語「ミヒャエル・コールハースの運命」、旧約聖書「ヨブ記」、そしてトマス・ホッブズによって書かれた国家についての政治哲学書「リヴァイアサン」などから着想を得て作られた。世界のいたるところを舞台とした作品群であるにも関わらず、統一された世界観の脚本を監督と共に執筆したのは、『ヴェラの祈り』『エレナの惑い』に続き、オレグ・ネギン。人間が抱える普遍的なテーマを緻密に描き出した脚本は、第67回カンヌ国際映画祭で脚本賞に輝き、賞賛された。また、キャストには主演アレクセイ・セレブリャコフをはじめ、演技力が高く評価されている役者陣を起用。運命に翻弄される主人公の妻リリアを演じたエレナ・リャドワは、『エレナの惑い』に続いてズビャギンツェフ作品に出演、本作でロシアのアカデミー賞であるニカ賞で最優秀主演女優賞受賞を果たした。また、音楽には、『クンドゥン』(97)、『めぐりあう時間たち』(02)、『あるスキャンダルの覚え書き』(06)などの映画音楽を担当し、アカデミー賞®作曲賞に3度ノミネートされた作曲家フィリップ・グラスのオペラ「アクナーテン」の楽曲を使用。壮麗なオーケストラが本作の世界観に見事にマッチしている。