乃南アサさん(作家)
ウォッカ。煙草。ウォッカ。煙草。 残酷なまでに厳しく美しい自然の中で生きる人間に与えられた自由の、何と少ないことか。 それも、ささやかに生きようとするものにほど。
西川美和さん(映画監督)
すべては謎に満ちている。 妻の心情は何も説明されないが、その沈黙の横顔の中に、 国家と、歴史と、その土地に固執する男達の精神とに 失望を繰り返して来た者たちのため息を聴き取る。 限りなく美的で最小限の描写の中に、 人や社会のあらゆる想念や情報を編み込んで表出する手腕にズビャギンツェフは傑出している。 それにしても過酷だ。現実を見るほどに過酷。 もし神さまが居るならば、「そんなにおれをののしるな」と言わずにはいられない映画ではないか。
草野仁さん(TVキャスター)
司法を取り込んだ権力者ほど始末に負えないものはない。 暴虐な市長の振る舞いに男は立ち上がった。 この世の中で正義は貫かれ、男の願いは叶うのだろうか。 主人公の熱い思いに心打たれた。
森本毅郎さん(キャスター)
孤独に権力に立ち向かう男の無力感、 神にさえ見放されたと思える絶望感が ロシア北部の荒涼とした風景から身に突き刺さるほど伝わってくる。
岩井志麻子さん(作家)
裁くのは神であってほしいが、やはり人間を裁くのは人間だ。 だから、裁きにも間違いがある。その嘆きを聞いてくれるのは、神だ。
板谷由夏さん(女優)
不条理に翻弄されたとき人はどう戦えばいいのか。 人の悲しみや苦しみがちっぽけな事柄にさえ思えてしまう作中の自然の姿に圧倒され、 突き放されながらも救われる、不思議な気持ちが生まれたのです。
小島秀夫さん(ゲームデザイナー/「メタルギア」シリーズ監督)
ロシア北部の美しく荒涼とした風景の中に、 朽ち果てた船の残骸や白骨化した鯨の死骸が何度も挿入される。 一方、主人公コーリャの人生は形骸さえも遺らない。 観客は成す術もなくただ圧倒される。
樋口毅宏さん(作家)
複雑怪奇な人間関係、嫉妬と憎悪。 観客を信用し、すべてを見せない一級品の画とセリフ。 日本では望むべくもない役者の顔。 神の不在が引き起こす悲劇。自然と人間と罪。これぞ現代の神話。 かつて、ロシア文学が人類の叡智であり、文学そのものを担ったように、本作は、映画の業をすべて背負ったかのようだ。 『動くな、死ね、甦れ!』を彷彿とさせる、重厚かつ荘厳なロシア映画。
室井佑月さん(作家)
権力には抗えない。正義に安定性はない。人は弱い。 後味が悪いのは、それだけこの作品がリアルだからだ。
沼野充義(ロシア文学者)
権力と悪と愛と絶望をめぐる悲劇が、現実を超えて神話の域に達する。 映画がこれほどすさまじく美しく、心を打ちのめすものになるなどと、誰が想像できただろうか?
宮本亜門さん(演出家)
腐敗した体制への強烈な批判をした映画。 これがロシアで自粛されず制作できたこと、 カンヌやアカデミー賞など世界で礼賛されている事実が素晴らしい。
紀藤正樹さん(弁護士)
これは物語ではなく“社会”そのものを描いている。 ふだん僕が見る“日本の現実”にも重なる。 職業がら、重い課題を突き付けられてしまった。
乃南アサさん(作家)
ウォッカ。煙草。ウォッカ。煙草。
残酷なまでに厳しく美しい自然の中で生きる人間に与えられた自由の、何と少ないことか。
それも、ささやかに生きようとするものにほど。
西川美和さん(映画監督)
すべては謎に満ちている。
妻の心情は何も説明されないが、その沈黙の横顔の中に、
国家と、歴史と、その土地に固執する男達の精神とに
失望を繰り返して来た者たちのため息を聴き取る。
限りなく美的で最小限の描写の中に、
人や社会のあらゆる想念や情報を編み込んで表出する手腕にズビャギンツェフは傑出している。
それにしても過酷だ。現実を見るほどに過酷。
もし神さまが居るならば、「そんなにおれをののしるな」と言わずにはいられない映画ではないか。
草野仁さん(TVキャスター)
司法を取り込んだ権力者ほど始末に負えないものはない。
暴虐な市長の振る舞いに男は立ち上がった。
この世の中で正義は貫かれ、男の願いは叶うのだろうか。
主人公の熱い思いに心打たれた。
森本毅郎さん(キャスター)
孤独に権力に立ち向かう男の無力感、
神にさえ見放されたと思える絶望感が
ロシア北部の荒涼とした風景から身に突き刺さるほど伝わってくる。
岩井志麻子さん(作家)
裁くのは神であってほしいが、やはり人間を裁くのは人間だ。
だから、裁きにも間違いがある。その嘆きを聞いてくれるのは、神だ。
板谷由夏さん(女優)
不条理に翻弄されたとき人はどう戦えばいいのか。
人の悲しみや苦しみがちっぽけな事柄にさえ思えてしまう作中の自然の姿に圧倒され、
突き放されながらも救われる、不思議な気持ちが生まれたのです。
小島秀夫さん(ゲームデザイナー/「メタルギア」シリーズ監督)
ロシア北部の美しく荒涼とした風景の中に、
朽ち果てた船の残骸や白骨化した鯨の死骸が何度も挿入される。
一方、主人公コーリャの人生は形骸さえも遺らない。
観客は成す術もなくただ圧倒される。
樋口毅宏さん(作家)
複雑怪奇な人間関係、嫉妬と憎悪。
観客を信用し、すべてを見せない一級品の画とセリフ。
日本では望むべくもない役者の顔。
神の不在が引き起こす悲劇。自然と人間と罪。これぞ現代の神話。
かつて、ロシア文学が人類の叡智であり、文学そのものを担ったように、本作は、映画の業をすべて背負ったかのようだ。
『動くな、死ね、甦れ!』を彷彿とさせる、重厚かつ荘厳なロシア映画。
室井佑月さん(作家)
権力には抗えない。正義に安定性はない。人は弱い。
後味が悪いのは、それだけこの作品がリアルだからだ。
沼野充義(ロシア文学者)
権力と悪と愛と絶望をめぐる悲劇が、現実を超えて神話の域に達する。
映画がこれほどすさまじく美しく、心を打ちのめすものになるなどと、誰が想像できただろうか?
宮本亜門さん(演出家)
腐敗した体制への強烈な批判をした映画。
これがロシアで自粛されず制作できたこと、
カンヌやアカデミー賞など世界で礼賛されている事実が素晴らしい。
紀藤正樹さん(弁護士)
これは物語ではなく“社会”そのものを描いている。
ふだん僕が見る“日本の現実”にも重なる。
職業がら、重い課題を突き付けられてしまった。