イントロダクション

マリオン・コティヤール×ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ

最強の組み合わせが生み出した“人の強さを信じる”感動の物語

2度のパルムドール大賞含む、カンヌ国際映画祭で史上初の5作品連続主要賞6賞の受賞を誇るダルデンヌ兄弟がマリオン・コティヤールを主演に迎え描き出したのは等身大のひとりの女性の物語。これまで、自分の想いを口にすることなく、黙々と突き進む主人公を描き続けてきたダルデンヌ兄弟が、「想いを声に出さなければ誰にも届かない」シチュエーションの中、自分の存在価値を何度も疑いながらも自身を見つけ出す女性を主人公に据えた。
この作品でマリオン・コティヤールはサンドラの弱さと強さ、繊細さ、心の機微を渾身の演技で魅せ、世界中がその演技を高く評価し数多くの主演女優賞を受賞、アカデミー賞®主演女優賞にノミネートされた。
研ぎ澄まされた演出で常に新しい世界を提示するダルデンヌ兄弟と華やかさを封印し確かな演技力を遺憾なく発揮したマリオン・コティヤール。この最強の組み合わせから“人の強さを信じる”感動の物語が誕生した。

仕事を続けるための条件──16人の同僚のうち過半数がボーナスではなくサンドラを選ぶこと

体調不良から休職をしていたが、ようやく復職できることになった矢先の金曜日に、上司から解雇を言い渡されたサンドラ。解雇を免れる方法は、16人の同僚のうち過半数が自らのボーナスを諦めること。ボーナスをとるか、サンドラをとるか、月曜日の投票に向け、サンドラは家族に支えられながら、週末の二日間、同僚たちを説得に回る。
どのような言葉で人の心は動くのか、人生と善意は天秤に掛けられるのか、サンドラは仕事を続けられるのか……先が見えないサスペンスに満ちた展開に目が離せず、月曜日の投票の瞬間は見る者までもが緊張をしてしまう。自分ならばプライドを捨てて懇願できるだろうか、選択を迫られたならば自分ならばどちらを選ぶのか――誰もが主人公たちとともに思案する。そして、迎える光溢れるエンディング。常に不安げだったサンドラが微笑むとき、我々も安堵せずにいられない。

アカデミー、カンヌ、世界が絶賛!観客はサンドラに寄り添い、一体となり、そして希望を見つけ出す。

サンドラを支える夫、マニュを演じるのは『ロゼッタ』『少年と自転車』などダルデンヌ兄弟作品に欠かせない俳優、ファブリツィオ・ロンジォーネ。サンドラが諦めかけるたびにやさしくたしなめ勇気を与える。また、そのほかにもダルデンヌ監督作品常連のオリヴィエ・グルメ、モルガン・マリンヌらが出演しているのも見逃せない。
『サンドラの週末』は各賞の外国語映画賞、主演女優賞を総ナメにしたほか、シドニー映画祭グランプリをはじめ、6作品連続カンヌ国際映画祭コンペティションへ異例の出品を果たし、各メディアでダルデンヌ兄弟作品のかつてない強度とマリオンの熱演に惜しみない賞賛が贈られた。
エンディングを含め映画音楽を一切排し、使用されるのはカーラジオから流れるヴァン・モリソンの「Gloria」やペトゥラ・クラークの「La Nuit N'en Finit Plus」などのみ。主人公が知りえる情報のみを共有し、サンドラの心の動きに寄り添って一体となり、試練を乗り越えようとする。本作で描かれる人と人の絆、人間の強さ。すべてが心を揺さぶるこの物語に誰もが感嘆するだろう。