『歌うつぐみがおりました』
Ikho chachvi Mgalobeli
1970年/グルジア/モノクロ/82分
*1974年カンヌ国際映画祭監督週間出品作品
監督:オタール・イオセリアーニ
脚本:オタール・イオセリアーニ、ディミトリ・エリスターヴィ、オタール・メフリシヴィリ、イリア・ヌシノフ、シェルマザン・カキチャシヴィリ、シモン・ルンギン
撮影:アベサロム・マイスラーゼ
美術:ディミトリ・エリスターヴィ
音楽:テイムラズ・バクラーゼ
製作:ゲルマン・グヴェネターゼ
出演:ゲラ・カンデラキ(ギア・アグラゼ)、ジャンスグ・カヒーゼ(指揮者)、マリーナ・カルツィヴァーゼ(マリナ)
【解説】
何かに追われるように毎日をあわただしく過ごしているものの、すべてが中途半端になっている主人公・ギア。約束を交わしては忘れてしまうし、ドタキャンしたかと思えば突然家に押しかけたりと、仕事にも女の子にもだらしなく自己中心的でお調子者のだめ男だが、なぜか憎めないキャラクターでもある。しかし時間に縛られあくせく生きて、自分のことばかり考えるあまりに人と人とのかかわりが希薄になっていく彼に、思いもよらない結末が訪れる。
グルジアの首都トビリシを舞台に、愛すべきだめ男ギアのせわしない日常がグルジア風ヌーヴェルヴァーグとも言うべきみずみずしさで描かれてゆく。人間の弱さと愚かさをそのまま表したような主人公ギアのキャラクターは、劇中で彼をとりまく人々を含め、見ている者を惹きつけてやまない魅力に溢れており、ゴダールの『勝手にしやがれ』のJ・P・ベルモンドを彷彿とさせる。
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