『蝶採り』
La chasse aux papillons
1992年/フランス=ドイツ=イタリア/カラー/118分
*1992年ヴェネチア国際映画祭PASINETTI(新聞記者協会)賞、1993年モスクワ国際映画祭 アンドレイ・タルコフスキー賞
監督:オタール・イオセリアーニ
脚本:オタール・イオセリアーニ
撮影:ウィリアム・ルプシャンスキー
美術:エマニュエル・ド・ショヴィニ
音楽:ニコラ・ズラビシヴィリ
製作:マルティーヌ・マリニャック
出演:ナルダ・ブランシェ(マリ=アニエスのいとこの老婦人)、アレクサンドル・チェルカソフ(公証人アンリ・ド・ランパデール)、アレクサンドラ・リーベルマン(マリ=アニエスの妹エレーヌ)、エマニュエル・ド・ショヴィニ(神父)、ピエレット・ポンポン・ベラッシュ(家政婦ヴァレリー)、タマーラ・タラサシヴィリ(マリ=アニエス)
【解説】
フランスの古い城館でのんびりと余生を楽しむ二人の老婦人と、彼女らが住む城館を売却しようとたくらむ隣人や親族たち。老婦人と隣人・親族の姿を対比させて、人の心や人間関係を変えてしまうお金の力とはかなさ、予測のつかない人生の不思議さとおかしさが描かれる。上品にほほ笑みながらピストルを撃ちまくる老婦人、朝から飲んだくれている神父、付き人に目隠しをさせて宝石を数えるマハラジャ、床に傷をつけないようスリッパを履かされた犬、などなどオープニングからエンディングまでユニークな人物(動物)が続々と登場するほか、汽車や自動車、自転車、オレンジ色のトラクターなど、いろんな乗り物が登場して目を楽しませてくれる。
上品な物腰と、チャーミングな着こなしで城館の持ち主マリ=アニエスのいとこを好演しているナルダ・ブランシェはイオセリアーニ監督のパリの自宅の近所に住む老婦人。知り合いをキャスティングすることで知られるイオセリアーニ監督が、「見事な身振りや言葉の勘所をわきまえた本物の老婦人」を探した結果、彼女が抜擢された。
なお本作は撮影にフランス映画界の名キャメラマンで、現在イオセリアーニとコンビを組んでいるウィリアム・ルプシャンスキーと、美術スタッフ兼キャストとして活躍しているエマニュル(マニュ)・ド・ショヴィニの三人がコラボレートした記念すべき第一作。今やゴールデン・トリオとなったこの三人の名前がラスト・シーンのある仕掛けで登場するのもご愛嬌!
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