孤高の作家フィリップ・ガレル。16歳から映画を作り始め、70年代にはアンディ・ウォーホルのミューズでありヴェルヴェット・アンダーグラウンドの歌姫だったニコと運命的に結ばれ、実験的な映画をふたりで生み出し注目される。アラン・ドロン、ブライアン・ジョーンズ、ボブ・ディラン、ジム・モリソンたちと浮き名を流したニコが、後に「本当に愛したたった一人の相手」と語った。その後もガレルはジーン・セバーグ、アンヌ・ヴィアゼムスキー、ジャン=ピエール・レオー、カトリーヌ・ドヌーヴなどの名優たちと次々と傑作を発表。ベネチア国際映画祭では『ギターはもう聞こえない』(90)で銀獅子賞、続く『白と黒の恋人たち』(01)で国際批評家連盟賞、『恋人たちの失われた革命』(05)では銀獅子賞とオ ゼッラ賞を受賞するという快挙を成し遂げている。リアルな言葉と日常の風景から「愛の誕生と喪失」を一貫して描き続けてきたガレルが、新たに生み出した私小説のような密度の『愛の残像』と『灼熱の肌』。大人たちに贈る“正統派ロマンチシズム”、珠玉のフランス映画をお楽しみください。
『愛の残像』にフランスの国民的歌手ジョニー・アリディと、ゴダールやトリュフォーに愛された女優ナタリー・バイの娘ローラ・スメット。『灼熱の肌』に「全面的にガレルを信じて挑んだ」と語り、完璧な裸体を惜しげもなく披露している国際派女優モニカ・ベルッチ。妖艶なヒロインたちを迎え、退廃的なエロティシズムを漂わせるガレルの息子ルイ・ガレルが、神々しく輝き観客を魅了する。