REVIEWS

第77回ヴェネチア国際映画祭 3冠(ユニセフ賞/ヤング・シネマ賞 最優秀イタリア映画賞/ソッリーゾ・ディベルソ賞 最優秀イタリア映画賞)、第33回東京国際映画祭正式出品、山形国際ドキュメンタリー映画祭2021コンペティション部門正式出品、第25回カプリ・ハリウッド国際映画祭ヨーロッパ映画賞、第75回ナストロ・ダルジェント賞 Silver Ribbon of the Year、第24回オンライン映画批評家協会賞 最優秀非アメリカ作品賞、第17回セビリヤ・ヨーロッパ映画祭 最優秀撮影賞

※敬称略/順不同

  • 『国境の夜想曲』の静謐さは、まるで俳句のようだ。
    感動し、圧倒された。

    アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(映画監督)

  • 目に見える事実の断片が目に見えない真実に触れている

    谷川 俊太郎(詩人)

  • 国境地帯を撮ることで、人間の暮らしや情には国境はないことを描き出す。
    映画というより詩のような、映像というより絵画のような、静かな祈りに満ちた作品。

    ブレイディみかこ(ライター)

  • 人の世には不幸がある。政治と分断、迫害と逃避。
    しかし風景は、時には無残な廃墟の光景でさえ、人の眼を慰め、未来を見せる。
    この監督の映像の力である。

    池澤夏樹(作家)

  • 空は広くて、不自由。母の嘆き、届かぬ悲痛。
    その視線の先には、何があるのか。生きることは幸せ?生き延びたかった?
    そんな問いを感じた。

    美しい映像に宿る、問いかけの息吹き。 貴方には聴こえますか?彼等の言霊が。

    サヘル・ローズ(俳優)

  • 映像を見ていると。武者小路実篤の「進め、進め」が浮かんできた。
    変革なのか侵略なのか今は分からないけど、地に足をつけて信じる道

    一寸、一歩でも進んでいけば、きっと答えを見つけることができる――
    と感じさせる作品です。

    沖田×華(漫画家)

  • 「無言のポエム」のような映画だ。
    戦いに翻弄される人々を撮っているのに・・・。
    暗闇に、いつでもどこでも僅かな光がさしている。

    悲嘆の地の一条の光は、コロナ禍で疲れたぼくらの心も癒してくれる。
    美しい映画だ。

    鎌田實(医師・作家)

  • 少年が見つめる先に私たちは確かに暮らしている。
    今、世界に対する態度が問われている。

    どうか目を逸らさないでほしい。
    悲劇が灯した闇にのまれないように。

    藤元明緒(映画作家『海辺の彼女たち』)

  • 観終わった後に始まる映画だ。
    寡黙で圧倒的な浸透力を持つ映像。
    観たことが私の内に深く沈んだ。
    まるで経験のように。

    小池昌代(詩人・作家)

  • 少年がソファで毛布に包まる。
    彼の寝息はかぼそいけれど、確かに聞こえてくる。

    それは深く傷ついてもなお、日々を生きる人間のエネルギーそのものだ。

    日向史有さん(ドキュメンタリー監督/『東京クルド』)

  • 戦火に巻き込まれた人たちの苦悩の欠片を丁寧に集めた本作。
    当事者たちには忘れたいこともあるだろう。

    だからこそ消したい記憶を記録したこの映画の意義は大きい。

    丸山ゴンザレスさん(ジャーナリスト)

  • これはどこなのか、彼らは誰なのか、そこで何が起きているのか……
    全ては説明されないまま、シーンが展開していく。

    しかし、幻想的な映像と静寂な空間に響く音、
    そして人間の確かな姿と声が浮かび上がる。
    闇と光が織りなす不思議な映画に吞み込まれた。

    綿井健陽さん(ジャーナリスト・映画監督)

  • ざらりとした手触りの紙に、
    夜は丁寧に塗り重ねられて朝は粒子まで描き込まれている。

    ただ見つめるだけでいい、と言われた気がした。

    長崎訓子さん (イラストレーター)

  • ドキュメンタリー映画なのに“物語”の中に迷い込んでしまったみたい。
    先の見えない暗闇の中で奏でられる生活者たちのメロディのない夜想曲。

    じょいっこさん(スパイス系異国メシレビュアー)

  • 理不尽な力によって、傷つけられた心は、どうすれば癒されるのでしょうか。
    遠い異国の無数の傷、どうしようもない怒りや悲しみが湧いてきましたが、
    同時に、僕自身が抱えている傷もうずき出しました。
    傷の癒し方も分からず、「離れる、逃げる」という選択肢を取っても
    忘れることすら叶わず、心の奥底で傷はうずき続けています。
    彼らが受けた傷と自分の傷を同じ土俵で語ってはいけないと思いますが、
    今もなお傷を抱えながら、でも毎日を生き続けている人間の美しさを、
    静かに、確かに見せてもらえて、助けられたと感じました。

    映画が終わった後も、じわじわと勇気をもらっています。

    高木正勝さん(音楽家/『おかえりモネ』)

  • 一人のひとが生きていた、その気配さえも奪われたあとの、静寂の長さを知る。
    あともう少し、やっと誰かが語り始めるまで、
    街の音が芽吹くまで、銃声と隣り合わせの生活に潜んでいた囁きを掬いとる。
    まだ、人間の手では埋めることのできない痛みを風景が語る。
    境界線の周囲に広がる空と大地は見たことのない色をしていた。
    言葉よりも先に、起きた現実の鏡のように映し出された色。

    これを「美しい」と言って良いかわからない、
    矛盾した感情と向き合うことをこの映画が教えてくれた。

    小森はるかさん(映像作家/『息の跡』)

  • <夜想曲>という美しい言葉をタイトルにもつこの映画は
    同時に<国境>という生死を隔てる境界線に沿って生きる人々の
    暮らしを取り戻そうとする日常を、生きのびる日々を、
    静かに見つめる映画でもありました。
    夜明けの美しさに予期せぬ哀しみが込み上げるような、切ない映像でした。

    胸の底にすうっと沈んだいくつもの場面を
    私、きっと何度も何度も思い出します。

    枝元なほみ(料理研究家)

  • 永遠に銃声の響かない夜が来てほしい
    星はやさしくいつも瞬き
    あたたかく眠れる場所があれば
    魂も心も奪い合わないで人はいられるのではないか

    この地球で起こっていることを
    この映画は静かに、教えてくれました。

    一青窈(歌手)

  • 偉大な美と深い共感を持った人間への眼差し。

    スクリーン・デイリー

  • 誰が見ても、『国境の夜想曲』のクオリティの高さがわかるだろう。
    銃声が聞こえながらも、本作は「戦争下の生活」を伝えるのではなく、

    暴力によって傷ついた人々が「前進しようとする生活」を描き出す。

    インディワイヤー

  • 一連の美しい絵画のような映像。
    視覚的に豊かなコラージュ。
    魅惑の映画。

    ザ・プレイリスト

  • 想像力に富み、時に美しく、解説を必要としない作品だ。
    なぜならば、映像がすべてを物語っているからだ。

    ザ・ガーディアン

  • 痛みを伴う美しさがしばしば胸を突き刺す。

    VOX

  • 素晴らしいドキュメンタリー映画だ。紛争によって困難に向き合わざるを得ない人々の物語が、
    正確な静止画の構図によって描写され、洗練されたフォトジャーナリズムになっている。

    フィルム・ステージ

  • ジャンフランコ・ロージは、公平な客観性という概念に絶対的な忠実さを求める、
    観察ドキュメンタリーの伝統的慣習に、
    常に臆することなく挑戦している。

    ヴァラエティ

  • 崇高なシネマトグラフィー!
    その美しい映像はジャンフランコ・ロージが捉えた題材の恐ろしさを隠さない。

    シカゴ・リーダー

  • この地域の心理的現実を理解しようとするジャンフランコ・ロージの純粋な探究心は、
    道徳的に賞賛されるだけでなく、
    芸術的にも驚くべきものである。

    グローバル・アンド・メール

  • 『国境の夜想曲』は無言で語りかけてくる。
    これが、私たちが作った世界なのだと。
    目を離せない映画。

    ザ・ラップ

  • ファーストショットからジャンフランコ・ロージの現実を彫刻する能力の高さを再確認させられる。
    ほぼ全てのイメージが絵画のような強度の色彩を放っている。

    フィルムメイカー

  • 印象派のようなコラージュ。

    ハリウッド・リポーター

  • 大きな問いが静かに提示され、
    小さくも心に響く出会いの数々が私たちの中で大きくなっていく。

    観終わったあとも長く響いていく映画になるだろう。

    シネローパ

  • この映画の体験的なアプローチは、その人生の断片が、
    時間軸上の個人的な出来事ではないことを強調している。

    スラントマガジン

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