◆監督メッセージ◆
この映画は、実際に私たちと生活をともにした幾人かの労働者と、フィクションである俳優たちへのインタビューで構成されています。私がこのようにドキュメンタリーとフィクションを同じ流れの中で融合しようと決めた理由は、それが中国の半世紀の歴史を描くのに最良の方法だと思ったからです。私は歴史とは常に「事実」と「想像」の混合物だと考えるからです。 この映画に登場する実在の、また架空の登場人物たちは、主に空軍などに製品を供給してきた国営工場で働いています。この国営工場は60年前に設立され、50年前に成都に移動しました。つまり、共産党政府の絶え間ない政治的変動にさらされてきたのです。私は、歴史そのものを時系列に従って描きたいとは思いません。むしろ、一世紀にわたる社会主義のもとでの経験が中国の人々の運命にどのように影響を与えたかを見つめようと思いました。社会の変動の複雑さを理解するためには、その中で生きてきた人々の直接的で、心の奥底からの告白を聞かねばならないのです。 現在、映画はよりアクションや動きに頼るようになっています。この映画では、私は人々が語る「言葉」に回帰したいと思いました。ここでは、「語り」はカメラによってとらえられる「動き」の一つとしてとらえています。私は、「語り」によって、話し手たちの内奥の感情と経験にアクセスさせようと意図したのです。 それが最良の時のことであろうと、最悪の時のことであろうと、いかなる個人の経験も無視されるべきではありません。この映画では8人の中国人労働者の声を聞くことができます。この映画を見ると、彼ら自身の人生のこだまが聞こえるのではないでしょうか。
ジャ・ジャンクー