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サマドとの出会いにより
生み出された傑作

 新作“時計の息子”の主人公に適した素人の少年を探していたが、なかなか見つけられずにいたジャリリは、やむを得ず、企画の続行を諦めかける。ある日、ジャリリはパン屋で働く少年サマドを見かけ、新作の主人公にぴったりだと思い、彼を使って映画を撮り始める。しかし、彼は幼い頃、足に大きな火傷を負ったため、走ることができなかった。しかも、放っておくと命にかかわる状態にまで悪化していた。そのことを知ったジャリリは、“時計の息子”の撮影を放棄し、彼の足を治療することを決意する。そして、その過程をフィルムに収めてゆくのだった。


 「映画によって子供たちを救いたい」と言い続けているジャリリが、「子供の現状を伝えるだけでなく、現実に何をすべきなのか」と自問自答していた時にこの2人は出会った。新作の撮影を諦め、ただ、少年のためにできることは何か模索するジャリリ。その状況にかかわらず、笑顔を絶やさず、明るく生きるサマド。「こういう事件との出会いを映画の作り手として夢見ていたところもあった」とジャリリ自身が語るように、2人の偶然の出会いによって奇跡がおき、傑作が誕生したのである。

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