沖縄本島から東へ360kmにある絶海の孤島・南大東島。
子どもたちは高校進学のため、15歳で島を出て家族と離れて暮らさねばならない。少女民謡グループ“ボロジノ娘”は、毎年別れの唄「アバヨーイ」を歌い、島を旅立っていく。
「明日から、ボロジノ娘は優奈がリーダーだからね」先輩・文香(野吾沙織)から、そう肩をたたかれた優奈(三吉彩花)。
そうして、優奈が島で過ごす最後の一年が始まった。
兄・正志(小久保寿人)、姉・美奈(早織)、そして美奈の進学に合わせて母・明美(大竹しのぶ)もが島を出て以来、優奈はさとうきび農家を営む島人の父・利治(小林薫)とずっとふたり暮らし。明美とはもう1年近く会っていない。
ある日、姉の美奈が赤ん坊のメイを連れて島に帰って来る。夫の克也(若葉竜也)となにかあったのだろうか。何の理由も告げずに家に暮らし始める美奈。
南大東島と北大東島が島をあげて戦う一大イベント、南北親善競技大会。優奈と親友のチーロ(山本舞子)は落ち着かない。気になるひとが、北大東島からやってくるのだ。長身のスポーツ青年、健斗(手島隆寛)。優奈は健斗から住所を渡され、携帯電話を持たないふたりの手紙による“遠距離恋愛”が始まった。
ある日、優奈はボロジノ娘として南大東島のPRで那覇にいた。優奈が演奏しているイベントへ駆けつける正志と明美。「三線、うまくなったね」「……うん」少しぎこちないお母との会話。お母の家へ着くと、そこに明美の恋人らしい人、金城(普久原明)がやってくる。動揺し、家を飛び出す優奈。
ある日、優奈は健斗が島に残るらしいという話を聞く。いてもたってもいられず、優奈は、北大東島へと向かう。「俺たちもう、会えないかもな」。健斗は優奈との高校進学の夢を諦め、父の仕事を継ぐことを決めていた。逃れることのできない離島の現実。傷心して戻ってきた優奈を、利治が何も言わずに迎えてくれた。
優奈が通う民謡教室で新垣先生との「アバヨーイ」の練習。「この歌は泣いて歌ったら価値ないからさ、堪えて歌うんだよ」。卒業の日が、刻一刻と近づいてくる……。
高校の面接のために、優奈と利治は那覇へ。その夜、家族全員で久しぶりに夕食を囲んだ。優奈は自身の決意を家族に伝える。「私、ひとり暮らししたい。ひとりで大丈夫。だから、お母は島に帰って」。気まずい空気が流れ、「お父とお母、離婚することにしたから」と利治が言う。なんで? みんなで一緒に大きなおうちに住もうよ……。優奈の声がむなしく響く。
そして、ついにやってきた卒業コンサートの日。
お父とお母が見守るなか、優奈は別れの島唄「アバヨーイ」を歌うためにステージへと向かう。家族への想いを込めて……。