1962年11月28日、香港生まれ。父は映画監督・プロデューサーの陳銅民。12歳でタイ・バンコクに移住し、その後アメリカ・カリフォルニア州へ。ロサンゼルスの大学の映画学科に学び、21歳で香港に戻った後、ゴールデン・ハーベストに入り助監督を務め、91年『愛という名のもとに』で監督デビュー。この作品は香港のアカデミー賞と呼ばれる香港電影金像奨において主演のエリック・ツァンに最優秀主演男優賞をもたらし、香港監督協会が選ぶ最優秀作品賞に選ばれるなど高い評価を受けた。92年に、エリック・ツァン、クラウディ・チョンと映画製作会社UFOを設立、90年代の香港映画界に新風を巻き起こす。UFOでは良質で洗練された都会派のコメディを次々と手がけ、93年、リー・チーガイ監督と共同監督した『月夜の願い』、『君さえいれば 金枝玉葉』(94)、『ボクらはいつも恋してる! 金枝玉葉2』(95)と立て続けにヒット作を送り出す。返還目前の香港を舞台にふたりの男女の十年愛を描いた『ラヴソング』(96)では香港電影金像奨で最優秀作品賞、最優秀監督賞ほか9冠に輝き、TIME誌が選ぶ1997年のベスト10にも選出された。99年には、米・ドリームワークスに招かれ『ラブレター/誰かが私に恋してる?』を監督、ハリウッド進出をはたす。そのほかの監督作に、ミュージカル仕立てのラブ・ストーリー『ウィンター・ソング』(05)、アクション大作『ウォーロード/男たちの誓い』(07)、武侠映画『捜査官X』(11)などがある。
またUFO設立以降、プロデューサーとしても活躍し、2000年に映画製作会社ApplausePicturesを設立し、韓国のホ・ジノ監督作『春の日は過ぎゆく』(01)、タイのノンスィー・ニミブット監督『ジャンダラ』(01)、香港のオキサイド・パン&ダニー・パン監督『the EYE』(02)などクロスアジアの映画を次々にプロデュース。自身も監督として参加したオムニバス・ホラー『THREE/臨死』(02)は、『美しい夜、残酷な朝』として続編も製作され日本から三池崇史が参加した。2009年には中国で映画製作会社We Picturesを設立し、『孫文の義士団』(09/テディ・チャン監督)、『フライング・ギロチン』(12/アンドリュー・ラウ監督)などを手がけた。
2014年には香港の映画監督としては初めて中華文化の発展に貢献した人物に贈られる名誉賞「中華文化人物」を授与されたほか、同年の第19回釜山国際映画祭にて、アジアを代表する監督・俳優に贈られるアジアスターアワード特別賞を受賞した。「中國合夥人」(13)で金鶏奨、『ラヴソング』『ウォーロード』で金像奨、『ウォーロード』で金馬奨と、それぞれ中国・香港・台湾のアカデミー賞と呼ばれる3つの映画賞において最優秀監督賞を受賞した唯一の映画監督である。