Bitters End
配給作品
『きらめきの季節
/美麗時光』
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解説<きらめきの季節
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世界へ羽ばたく新しい才能、チャン・ツォーチ

チャン・ツォーチのキャリアはまだ長いとは言えない。しかし、前作『最愛の夏』で1999年東京国際映画祭、2000年のシンガポール映画祭において、どちらもグランプリのほか、三冠を受賞するなど、映画祭に出品されるごとに最大の評価を受けている。そしてこの『きらめきの季節/美麗時光』は日本との共同制作で撮りあげ、ヴェネツィア映画祭コンペティション部門に正式出品とそのキャリアを確実に築き上げている。
これまで、台湾映画界はチャン・ツォーチ自身が助監督を務めていたホウ・シャオシェンをはじめ、エドワード・ヤン、ツァイ・ミンリャンと世界を舞台に活躍する監督を輩出しつづけてきた。そして、チャン・ツォーチは更なる新しい才能として今まさに世界へ羽ばたこうとしているのである。


本作は現実と幻想が綯い交ぜになっている点もチャン・ツォーチ作品らしい特色となっている。生と死、光と闇、現実と幻想…。境界を越えることで終わりが来るのではなく、闇の中にもまた光があり、だからこそどんな瞬間も素晴らしい、そんなメッセージが彼の作品からは感じられる。


青春時代を体現する魅力溢れるふたりの俳優

主人公アウェイに扮するのは前作『最愛の夏』でも主人公カンイが想いを寄せる無鉄砲な少年アピンを演じ、その寡黙な演技から台湾で人気が急上昇、現在では数本のテレビドラマにも出演しているファン・チィウェイ、アジェには、やはり『最愛の夏』で短い出演時間ながらもひときわキレぶり(!)が目立っていたガオ・モンジェが本作でも「キレぶり」を披露、若さゆえの魅力を体現している。
そのほかの出演者は前作同様に演技経験のない者がキャスティングされた。役者が決まってからその人のバッググラウンドを考慮した上でストーリーを作り上げてゆくチャン・ツォーチ作品において、キャスティングは大きな意味を持っている。

ビジュアル

『きらめきの季節/美麗時光』の裏側

●これまでの作品同様、監督はシナリオを役者に見せないままに撮影は進んだ。「撮影の中で一番辛かったことは?」との質問に主演ふたりは口をそろえて「シナリオを見せてもらえないこと」と答えている。ラストの水中シーンを数テークも撮らされているにもかかわらず、だ。

●アジェの兄・アギィ役フー・ホァンジはチャン・ツォーチ作品には3度目の出演。実際に知的障害者である彼は前作同様本作でも助監督的な役割を果たした。予測不可能なリアクション、アジェとの兄弟関係のリアル感(アジェの「世界を変える」という発言や手品への傾倒ぶりも兄の状態と無関係ではないだろう)、川への飛び込みの不思議な目撃証言など、彼なしにはこの作品は成立し得なかっただろう。

●本作の役名はほとんどが本名となっている。范植偉(ファン・チィウェイ)は小偉(アウェイ)、盟傑(ガオ・モンジェ)は阿傑(アジェ)という具合だ。なるべく素人を使って映画を撮りたい、という監督のこだわりで、役者の素の部分と役柄をより近づけることに成功している。

●撮影は台北・新店・宣蘭で行われた。新店は台北市の南端に位置し、烏來への中継地点であるが、美しい湖があることでも知られている。宣蘭は台湾東北角海岸にあり、台湾第二の温泉郷と呼ばれる礁渓温泉を有し、マリンスポーツも盛ん。台北から日帰りで行けるため、観光地となっている。劇中にもその名が登場する「亀山島」はその地域のシンボルだが、2000年までは軍事管制区に指定されていた