カティヤ:ダイアン・クルーガー
1976年7月15日、ドイツ、ハノーバー生まれ。英国ロイヤル・バレエ団でバレリーナを目指すが、怪我のため断念。その後、パリでモデルとして成功を収める傍ら、有名な俳優学校ル・クール・フローランで演技を学び、「ザ・ターゲット」(02/ジャン=ピエール・ルー監督)でスクリーンデビューを飾る。2003年、第56回カンヌ国際映画祭で将来有望な俳優や女優に贈られるショパール・トロフィーを受賞、翌年ブラッド・ピット主演の歴史スペクタクル『トロイ』(04/ウォルフガング・ペーターゼン監督)で王妃ヘレン役に大抜擢され、国際的にブレイクする。その後、ニコラス・ケイジ主演、ジョン・タートルトーブ監督の『ナショナル・トレジャー』(04)、『ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記』(07)でヒロインを演じ、クエンティン・タランティーノ監督作『イングロリアス・バスターズ』(09)に出演、全米映画俳優組合賞助演女優賞にノミネートされる。その他の主な出演作に『戦場のアリア』(05/クリスチャン・カリオン監督)、『敬愛なるベートーヴェン』(06/アニエスカ・ホランド監督)、『マリー・アントワネットに別れをつげて』(12/ブノワ・ジャコー監督)、『バツイチは恋のはじまり』(12/パスカル・ショメイユ監督)、『パパが遺した物語』(15/ガブリエレ・ムッチーノ監督)など、インターナショナルに活躍している。本作『女は二度決断する』で、母国語であるドイツ語での演技を初めて披露し、第70回カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞、世界的な映画祭で主演女優賞を獲得したのは本作が初めて。
元々、私はファティの作品の大ファンでした。2012年のカンヌで「あなたの映画に出たい」と話して、ようやく夢が叶ったんです。
この映画のもとになったネオナチによる事件については、ドイツに住んでいなかったこともあって、当時は知りませんでした。『女は二度決断する』は犯人側の動機は問題にしていません。ただ、家族を失った者が感じる悲痛な感情を描いています。撮影に入る前に約6ヶ月かけて30家族ほどのテロや殺人事件の犠牲者となった方々に話を聞いて、とてつもない苦しみや哀しみや重みを引き受けなければいけないと感じました。この経験は私の人生を完全に変えました。撮影中、何度も自分が演技をしているのではないような感覚になったんです。自分の目の前で起きていることに反応しているような……。
今も私の中にカティヤはいます。この作品は私にとってとても大切な映画になりました。