少年と自転車

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思い出すと涙が出てくる。
どうしてこんなに胸に迫ってくるのか…。
人は人に解ってもらいたい、身近な人がふっと解ってくれるだけで人は変われる。
そう思えた。

――樹木希林さん(役者)

微かに希望の光が見えた!
でも、少年の深い心の傷が癒えるには、まだまだ大人のあたたかい眼差しが必要…。

――役所広司さん(俳優)

手に負えぬ子らの抱く、深い怒りや哀しみが見えぬ人に、シリルやサマンサの姿を見せたい。
いや、どんな親にも、この映画を見てもらいたい。

――石川信義さん(児童相談所精神科担当医)

まだ少年なのに何て深い人間の顔をしているのだろう。
ひりひりするような彼の心の痛みを感じながら画面の中に引きずり込まれてしまった。
最後に私の心は少年に向って『生きてーっ』と叫んでいた。

――原田美枝子さん(女優)

蛇口からあふれる水をとめない少年、私も涙した。
水辺をふたりで自転車ピクニック、ふたりでサンドイッチをほおばる、すばらしい愛情シーン。
イイ映画だねえ。

――荒木経惟さん(写真家)

少年が成長するために、たった一人、寄り添う大人がいればいい。
里親の女性と少年が自転車を並走するシーン、心に沁みました。

――紺野美沙子さん(俳優/国連開発計画(UNDP)親善大使)

人と人とが結びつく。その切なさ、その美しさが胸に迫る。
帰るべき場所を求め続けるシリル、受け止めるサマンサ。
二人をいつまでも見ていたい。

――あさのあつこさん(作家)

静謐な基調に起きるさざ波のような出来事の数々。
人間的信頼の精神が求められる大震災後の日本。
「いま」を生きる人に届けと願う心安らぐ物語だ。

――有田芳生さん(参議院議員)

こがないと倒れてしまう自転車のように、
少年とは他者との関わりを求め続ける繊細で頑なな存在であった。
誰もが自分のなかのシリルに出逢うことだろう。

――玄侑宗久さん(作家)

痛いくらいまっすぐな少年に釘付け。
そして、女性の母性。
恋人よりも少年を選んだ彼女に驚きつつも納得してしまう私でした。

――西田尚美さん(女優)

「シリルの前に仁王立ちし、場合によっては頬を平手で打ち、
 暫しの見つめあいの後、彼を力強くハグ!
 君はこんな事が出来る、正々堂々とした大人になってますか?」
ダルデンヌ兄弟から、そう問いかけられた。

――光石研さん(俳優)

おとぎ話? いやこれ、全然リアルだよ!

――岩松了さん(劇作家/演出家/俳優)

『少年と自転車』の主人公は、『大人は判ってくれない』のジャン=ピエール・レオーのように、観る者の心を痛ませ、そして幸福感で一杯にする。

――20ミニッツ

ダルデンヌ兄弟独特の魔法は、シナリオと演出にある。
説明的なセリフなしに物語を進め、人間の苦しみを描く。
苦悩は、自転車、閉ざされた扉、人影がうっすらと浮かぶ窓、鳴りっぱなしの携帯電話といった事物と、また、強力な隠喩――溢れだす蛇口の水は、涙を流せない少年の悲しみを象徴する――によって表される。
一瞬の無駄も、心理描写もなく、感動をあおり立てようともしない。
『少年と自転車』は、説教臭さがなく、それだけに純粋な感情をかきたてる。
偉大な芸術。

――ル・モンド

ダルデンヌ兄弟は、ちょっとしたタッチで、自分たちの映画をまるで新しいものにする。
これは金細工師の仕事だ。

――レザンロキュプティブル

映画の滑らかさは驚くほどだ。まるで表面を滑走するかのごとく。
セシル・ドゥ・フランスは厳しく、かつ優しく、力強さと確かさを感じさせる。
対する若きトマ・ドレは非凡な内面性を見せている。

――プレミア

『少年と自転車』は、リアリズムを最高の輝きに到達させることによって、成功を勝ちえている。

――カイエ・ドゥ・シネマ

『イゴールの約束』以来、ダルデンヌ兄弟は恩寵を撮ることに長けている。
恩寵とは、登場人物に贖罪の道を歩かせることなのだ。
しかし彼らのまなざしがこんなに優しく、こんなにあたたかかったことはかつてない。
『ロルナの祈り』で真冬の寒さを経験した彼らが、暗さからぬけ出そうとしたかのように。
こうして兄弟は、初めて夏の光を撮る。地平線は広がり、空に雲はない。
草の上の昼食や、ムーズ川沿いの自転車の散歩の場面では、優しさがスクリーンを包む。
こんな場面は、これまでの彼らの作品にはなかった。
また、ダルデンヌ兄弟は、初めて音楽の助けを得た。
ベートーヴェンのエレジー的な音楽は、物語の中で最も苦しい場面に流れ、少年の心を癒す。

──テレラマ

観る人は感動とともに映画館を出ることになる。

――エル

悲劇的な内容と対照的に、そのスタイルは軽く、滑らかだ。脱帽。

――エクセシフ

人を微笑ませるダルデンヌ兄弟。そんなことがありうるのだ!
『ロルナの祈り』から3年、ベルギー人兄弟は、『少年と自転車』で再びカンヌに帰ってきた。
彼らの作品の中で最も優しい映画。

――メトロ

裏切られ、助けを得る無垢な少年の物語によって、
ダルデンヌ兄弟にしかできない映画形式に立ち戻る。
『ケス』以来、いや、『自転車泥棒』以来の最良の子ども映画といっても文句はないだろう。

――スクリーン・デイリー

個人の責任や良心を主題とするモラリスト映画作家の中で、
ダルデンヌ兄弟は、最上位にランクされる。

――ヴァラエティ

その限りない愛情と、徹底した感傷の排除、類まれな感情的高潔さにおいて、
ダルデンヌ兄弟に匹敵する現代作家はいない。
彼らの映画は、観る者の喉首をつかみ、恐ろしい絶望に投げ入れる。
しかし、その一方で、人間は希望を持ち、罪を償うことができるのだ、という不動の信仰は、私たちを驚かせもするとともに、私たちを納得させもする。

――ハリウッド・レポーター

罪と罰、切望と失望、愛と憎しみ、そして赦しの物語。
これは、人間を描いた映画なのだ。
映画が始まってすぐに、『少年と自転車』の持つ力、繊細さ、現在を描いていながらも有する普遍性、透徹した思考が、はっきりと感じ取れるはずだ。

――タイム・アウト

『少年と自転車』に感傷はまったくない。主人公が最も絶望的な瞬間にこそ、その暗い魅惑を見出す。にもかかわらず、ダルデンヌ兄弟作品の中で最も軽やかで、最もあたたかい作品。

――スラント・マガジン

(順不同)