Bitters End
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『不完全なふたり』
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BITTERS END

別れを決めるとき、人は初めて愛することを知る。

 マリーとニコラは結婚15年になる夫婦。彼らは友人の結婚式に出席するために、パリへやって来た。友人達からは、“理想のカップル”として見られる二人だったが、実は彼らは離婚することを決めているのだった。
 二人は、パリ滞在の数日間にも、たびたび口論を繰り返す。「私たち、何をしたの?」「何をしなかったの?」。一方、マリーはロダン美術館で、あたかも溶け合おうとする女と男を描いた彫像を見て、引きつけられる。果たして、マリーとニコラはこのまま別れてしまうのか?
 マリーとニコラは“不完全な二人”なのだろうか?他人同士である女と男にとって、“完全な二人”であることとは?デビュー作『2/デュオ』以来、一貫して女と男の関係を描いてきた諏訪敦彦が、“二人で生きていくこと”の難しさと素晴らしさを繊細かつ情感豊かに描く、珠玉の作品が誕生した。



ヨーロッパで絶賛、全編フランス語ダイアローグによる、諏訪敦彦最新作

 『M/OTHER』『H Story』が2作続けてカンヌ映画祭に出品され、『パリ、ジュテーム』でも唯一の日本人監督として、ジュリエット・ビノシュ、ウィレム・デフォーを演出した、諏訪敦彦監督の4年ぶりの長編最新作は、オール・パリロケ、全編フランス語ダイアローグによる、フランス=日本合作となった。完成された脚本を使わず、キャスト・スタッフとのディスカッションから映像を紡ぎあげる手腕は本作でも遺憾なく発揮され、女と男の心の揺れ動きを見事に描き出している。
 ヨーロッパでの諏訪敦彦の評価は圧倒的であり、本作のワールドプレミアとなったロカルノ国際映画祭では準グランプリにあたる審査員特別賞と国際芸術映画評論連盟賞をダブル受賞。フランス公開時には「沈黙に語らせることを恐れない、むしろ沈黙によって豊かになっている、ショパンの夜想曲の映画版とも言うべき心揺さぶる映画」と絶賛され、3万人以上を動員するヒットを記録した。


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オゾン作品のミューズ、ヴァレリア=ブルーニ・テデスキなど、ヨーロッパを代表するキャスト、スタッフが結集

 マリーを演じるのは、『ふたりの5つの分かれ道』などのフランソワ・オゾン作品で知られるヴァレリア・ブルーニ=テデスキ。別れることを決めた女性マリーの迷いと苛立ちを、セリフ、仕草、表情といったすべてで体現し、繊細かつ柔軟に演じている。相手役のニコラは、ヴァレリアと同じパトリス・シェロー門下のブリュノ・トデスキーニが“静”の演技で、“動”のヴァレリアを見事に受け止めている。
 撮影を手掛けたのは、『H Story』に続いて、キャロリーヌ・シャンプティエ。フィックスと手持ちキャメラの2台を使って、二人の揺れ動く感情を光と影のなかに浮かび上がらせることに成功している。その他にも、フィリップ・ガレル、マルグリット・デュラスなどの作品で知られるドミニク・オーヴレイが編集を、クシシュトフ・キェシロフスキ『トリコロール』のジャン=クロード・ロルーが録音を手がけるなど、ヨーロッパの名匠の作品を支えるスタッフが結集している。