Bitters End
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『ばかのハコ船』
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解説 < ばかのハコ船
BITTERS END shopping gallary
山下敦弘(『どんてん生活』)監督 最新作
ばかのハコ船
NO One's Ark

何をやってもうまくいかない男と女
嗚呼、『ばかのハコ船』は何処へ行く・・・?!


欲しいのはプチ・はっぴぃ(happy)
でも手に入れるのはムズカシイ

海原を走る小さな船。船といえば旅立ち…だったはずだ。しかし…。 船を降り、電車を乗り継ぎ、若いカップルがとある地方の駅に、成功を夢見て降り立つ。彼らが手にしているのは自ら開発した健康飲料「あかじる」。東京では失敗に終わった「あおじる」ならぬ「あかじる」を、親類縁者のコネを使ってなんとかしようとしているのだ。とはいえ、明るさがない、愛想がない、要領が悪い、商売からかけ離れているふたり。嗚呼、そんな彼らに何ができるのか・・・。


横暴、わがまま、自分勝手・・・でもニクメナイ

「悪役」が出てこない本作、一番のイヤなヤツが主人公・酒井大輔。大した度胸もなければ、甲斐性もないくせに、都合のいい言い訳ばかりをし続ける男。誰が見ても、どう考えても「コイツ、ムカつく〜」キャラクター。そんな男なのにどうしても大輔から離れられない女・島田久子。理不尽なことで大輔に怒鳴られながらも、不器用にひたむきに応え、ついていこうとする姿は、いじらしく、切なく、可愛らしくなってくるほどだ。
そんなふたりと関わる不思議な存在「スーパーオザキ」店長・尾崎充。あかじる販売を断りながらも、大輔が失踪して困っている久子をなんとなーく励ましてくれる。大輔の元・カノ(元彼女)小林マドカ。田舎町で異彩を放つ東京帰りの風俗嬢。
自分の田舎ってハズカシイ――「カユイところをよりカユク」する新・コメディが誕生した。



ビジュアル
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インパクト大!! な役者の皆様

「ムカつく」酒井大輔を演じるのは、山下敦弘監督第1作『どんてん生活』でロング・リーゼントの主人公・南紀世彦を演じ、2001年度キネマ旬報新人俳優4位にも選出された山本浩司。とてつもないインパクトを誇るその顔とキャラクターは一度見たら忘れられない。
そして、世の女性の共感と反発を一身に浴びる島田久子を演じるのは、本作が映画初主演の小寺智子。決して美人とは言えないが、ひたむきさがキュートな久子を熱演。どうしようもないダメ男についてゆくその姿に、悔しくなりながらも共感してしまう。
脇を固める役者陣も個性派揃い。酒井の幼馴染で抱腹絶倒の奇妙な演技を展開する尾崎役には、実際に山下監督の幼馴染である新人・山本剛史。クールでカッコイイ女・マドカに新人・細江祐子。大輔の父親役には数多くの映画やテレビ・舞台でも名脇役として活躍、最近では『アカルイミライ』の出演が記憶に新しい笹野高史。そして、女優であり、舞台演出家でもある木野花が母親役を飄々と演じている。


やっぱりインパクト大!! な音楽

『どんてん生活』に引き続き、映画音楽を担当したのは音楽集団・赤犬。総勢13名のバンドで関西を中心に活動。そのファンは音楽業界にも多く、カルト的な人気を誇り、モンゴル800やガガガSPとも親交を持つ。また、映画音楽では熊切監督作品などにも携わっている。


日本のカウリスマキ?!
        もしくはジャームッシュ?!

若干22歳で撮り上げた山下敦弘の初監督作品『どんてん生活』はゆうばり国際ファンタスティック映画祭2000 オフシアターコンペティションのグランプリ受賞を始め、各国の映画祭に出品。各地で笑いと絶賛の嵐を呼び、「まるで日本のアキ・カウリスマキ!」と評された。
そして、満を持して放つ山下監督第2作は、その名も『ばかのハコ船』。20代男女の奇妙な向上心が笑いと悲哀を呼ぶ、イタくて斬新なコメディだ。バンクーバー国際映画祭の他、様々な映画祭に招待され続け、各地で好評、山下節の万国共通性を証明した。
『ばかのハコ船』は山下監督25歳の作品だが、スタッフもまた、平均年齢20代と脅威の若さ! 20代男女の悲喜こもごもを同世代ならではの目線で描きつつも、その絶妙な間による笑いは若さよりもむしろ、熟練の技さえ感じさせる。さらに山下監督は、阿佐ヶ谷スパイダース主宰・長塚圭史と山本浩司のふたりを主演に迎え、第3作『リアリズムの宿』<原作:つげ義春、音楽:くるり>を既に撮影完了。2003年は山下敦弘から目が離せない!


★ この作品は財団法人東京国際映像文化振興会と日本芸術文化振興会の協力によって完成しました。