第60回ヴェネツィア国際映画祭 特別個人貢献賞
第16回ヨーロピアン・フィルム・アワード 最優秀批評家連盟賞
マルコ・ベロッキオ監督作品
1978年ローマ。
これは、イタリア最大の事件と呼ばれた「事実」に基づいた物語である。
イタリアが今も忘れない、 深くて哀しい傷あと
1978年ローマ。キアラは、フィアンセと共に新しいアパートに移ってきた。一見ごく普通の生活を送っているかのように見える彼女だったが、実はその新居の中で「赤い旅団」の一員として、誘拐したモロ元首相を匿う役割を担っていた―。
刻一刻と変化する状況の中、やがてキアラは、自分たちの信念に人を殺す権利があるのかと苦悩するようになる。そしてメンバーからモロ処刑の判断が下されたその時…。
イタリア最大の歴史的事件と言われる、モロ元首相誘拐暗殺事件を、時には史実を交え、ある時には史実から離れ、理想的な社会を夢みる女性キアラの視点から描いた本作は、感動的に観る者の心に迫ってくる。
今こそ胸に迫る自由への希望
巨匠ベロッキオの到達点となる傑作
ベルトルッチと並ぶイタリア映画界の巨匠マルコ・ベロッキオの最新作にして、「ベロッキオの最高傑作」(伊/フォグリオ紙)と絶賛される本作。ベルリン映画祭受賞2回、ヴェネツィア映画祭受賞3回、カンヌ映画祭コンペ出品5回、という輝かしい経歴を持つベロッキオの到達点となる傑作が誕生した。
「この残酷な悲劇の中に、悲惨な結末にあらがう何かが見いだせないかを探りたかった」と、監督自身が語るとおり、本作で描かれるのは、事実の探求ではなく、人間性への信頼と希望である。
暴力によって社会を変えることの無意味さと、真なる自由への希望を鮮烈に描き出したベロッキオに、ヴェネツィア映画祭は特別個人貢献賞を与えた。
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