すべては、"クジラ"が見ていた・・・。
ヴァルシュカ・ヤーノシュは、天文学を趣味に持つ、郵便配達だ。彼は靴職人の工房に部屋を借りている。
仕事と家の往復の中、老音楽家エステルの世話をするのが日課となっている。
エステルは、ピアノのある部屋で、口述の記録を続けている。
それは、"ヴェルクマイスター"という18世紀の音楽家への批判のようにも聞こえる。
そんな、ある日、街角に1枚の張り紙が・・・。
“夢のよう!”“自然界の驚異!”“世界一巨大なクジラ!”“ゲストスター、プリンス!”
そして、夜の街を、巨大なトラックがゆっくり通り過ぎた。
エステル夫人が、ヤーノシュを訪ねて来る。
「風紀を正す運動に協力するように、エステルを説得して」彼女は何かに取り憑かれるいるかのようだ。
広場に何かが来ているという噂を耳にし、ヤーノシュは広場に向かう。広場には、トラックとそれを取り囲むように、数え切れないほどの住人達がいた。トラックの荷台が開く。木戸銭を払い、乗り込むヤーノシュ。そこで目にしたのは、"クジラ"だった。不気味に光るクジラの目。ヤーノシュは、それに魅了される。また、潜り込んだトラックの中で目にする"ゲストスター、プリンス"の影。彼らの目的は何なのか?どこから来て、どこへ向かうのか?。
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