Bitters End
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『少年と砂漠のカフェ』
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BITTERS END shopping gallary

ディレクターズ・ノート


 “デルバラン”とは“恋人たち”を意味するペルシャ語です。イラン東部ホラサン地方の北部、アフガニスタンとの国境に近いところに“デルバラン”という町はあります。人々が愛や希望について考えることができた頃(それはそれほど昔のことではありません)、戦争の恐怖や食料の不足をおそれなくてもよかった頃、恋人たち、とりわけ、愛する人のために家を捨ててきた恋人たちが、この土地にやってきました。それは、この町が乾燥した砂漠のほぼ真ん中にあり、行方を探すのが非常に困難だったからです。デルバランのカフェは、そうした恋人たちが会う場所としてこの土地に建てられたのです。


 その後、イランとアフガニスタンとの間に道路ができ、それはデルバランの町を、そして当然、そのカフェの横を通ることになりました。経済的な理由から、カフェはその本来の機能を失い、国境を越えてきた違法就労者たちや麻薬密売人たちの集まる場所になってしまいました。それからというもの、イランの警察はこのカフェに強い注意を払うようになったのです。


 私がこの話を映画化しようと思った時、最初はただ単に砂漠の真ん中のカフェで働く少年を描きたいと思っていました。その少年はアフガン人である必要はなかったのです。その後、この映画の出演者を探して砂漠を旅している時、私は偶然キャインに出会いました。彼に映画に出てくれるように頼んだ後、私は彼がアフガン人であることを知りました。私は、少年をアフガン人にするとキャインが役に自分自身を反映できるのではないかと考え、主人公の設定を変えました。実際、アフガニスタンの国境に近いホラサン地方には、多くのアフガン人が暮らしているのです。私がアフガン人の少年を主人公に起用したのは全くの偶然ですが、このことはこの映画に別の意味でのリアリティを付与するものになったと思います。


アボルファズル・ジャリリ

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