STORY

なによりも大切な家族。私の太陽。

LA・サウスセントラル。ミリーは家族と暮らせない子供たちを育てていた。貧しいけれども、ミリーが与える愛情のおかげで誰もが居場所を見つけ、家には子供たちの笑顔が溢れていた。白人の隣人オビーは騒々しいミリー一家にいつも文句を言うが、心根はやさしく、実は彼らを見守っている。

ある日、ミリーは母親が逮捕され、帰る家を失った少年ウィリアムを保護し、一緒に暮らすようになる。さらに、兄弟の面倒を見ている真面目な長男ジェシーの学校の同級生でジェシーがほのかに恋心を抱いているニコールも家を失い、さまよっていた。黒人ばかりが暮らすこのサウスセントラルで、どの家も生活は苦しく、子供を顧みる余裕はない。ジェシーはウィリアムの素行の粗さが気になるが、それでも少しずつ距離を縮めていく。

1991年はLAでふたつの大きな事件が起きた。黒人男性が白人警官たちから理不尽な暴行を受けたロドニー・キング事件と15歳の黒人少女が万引きと間違えられて韓国系の女店主に射殺されたラターシャ・ハーリンズ射殺事件。
ラターシャ・ハーリンズ事件は保護観察処分と500ドルの罰金という収監なしの判決が下る。人の命を奪っておきながら、事実上無罪のような判決に怒りが沸き上がるLAの街。

1992年4月、ロドニー・キング事件の公判で、集団暴行をした4人の警官に無罪の評決が出る。黒人が犠牲になったふたつの事件への不当な判決に、街の怒りは沸点に達した。そして、白人と韓国系商店を標的として、LA暴動が起こる。

血の気の多いウィリアムは暴動に加わろうとし、ジェシーはそれを止めようとする。暴徒と化した市民が商店から略奪している映像をテレビで見て、店に向かう子供たち。小さな子供たちだけが家に残される。ミリーとオビーは子供たちを守ろうと必死に混乱を極めた街を奔走する。

ただ、一緒にいられれば、それだけで良かった。ささやかに暮らしていたはずのミリーたちの生活はある時一変する――。

BACK GROUND

ラターシャ・ハーリンズ射殺事件

15歳のアフリカ系アメリカ人の少女ラターシャ・ハーリンズが、サウスセントラルの食料品店の韓国系女店主トゥ・スンジャによって殺害される。事件から8か月後、陪審員の意見を無視してトゥ・スンジャには執行猶予付き5年の懲役、400時間の社会奉仕、500ドルの罰金という非常に軽い刑が言い渡される。

ロドニー・キング事件

26歳のアフリカ系アメリカ人ロドニー・キングが、スピード違反でLA市警から追跡された末、警官数人に殴打される。1年後に行われた裁判の陪審員は黒人はひとりも入らず、進められた。審議の結果、4人の警官は無罪釈放となる。

LA暴動

ロドニー・キング事件の評決結果の報道から2時間後、サウスセントラルで最初の暴動が発生。暴徒と化した市民が韓国系店を中心に商店を襲い、放火や略奪を行い、全米各地で小規模な暴動や抗議を生んだ。
司法省が、ロドニー・キング事件について、公民権法違反容疑でのFBIによる再捜査をアナウンスするなどによって、6日間続いた暴動は収束に向かう。50名を超える死者、4,000人の逮捕者、3,600件の火災が発生、1,100の建物が破壊された。