改革開放後、“一人っ子政策”が進む1980年代、
めざましい経済成長を遂げた1990年代、そして2010年代――。
喜びと悲しみ、出会いと別れを繰り返し、
それでも共に生きていく夫婦の姿を、激動の中国30年を背景に映し出す。

ストーリー

ヤオジュンとリーユン夫婦は、ひとり息子のシンと中国の地方都市で幸せに暮らしていた。同じ工場の同僚であるインミンとハイイエン夫婦には、偶然にも同じ年の同じ日に生まれた息子ハオがいた。両親たちは、お互いそれぞれの子の義理の父母としての契りを交わし、息子たちは兄弟のように育った。

ある時、リーユンは第二子を妊娠するが “一人っ子政策”に反するため堕胎させられてしまう。さらに、リーユンは手術時の事故で二度と妊娠できない身体になった。

ある日、ハオは「川で遊ぼう」とシンを誘うが、泳げないシンは頑なに嫌がる。怒ったハオはシンを残して一人で仲間たちのもとへ行ってしまった。やがて日が沈みかけた頃、数人の大人たちが必死の様子で川にやってくる。「シンシン!早く病院へ!」大人たちのその姿を、体を震わせながら真っ青な表情で見ているハオ。

大切なひとり息子シンを事故で失い、乗り越えられない悲しみを抱えたふたりは、住み慣れた故郷を捨て、親しい友と別れ、見知らぬ町へと移り住む。やがて時は流れ――。