Bitters End
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『ノー・マンズ・ランド』
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解説 < ノー・マンズ・ランド
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『ノー・マンズ・ランド』が意図するのは、責任追及ではない。悪いことをしたのが誰なのかを指摘する映画じゃないんだ。僕が言いたいのは、あらゆる戦争に対して、異議を唱えるということだ。あらゆる暴力に対する僕の意志表示なんだよ。

ダニス・タノヴィッチ



世界中の観客に支持された傑作、ついに日本上陸!
 2001年のカンヌ国際映画祭において、圧倒的なストーリーテリングの巧みさで世界中のマスコミを興奮の渦に巻き込み、脚本賞を受賞した『ノー・マンズ・ランド』。その後も、サン・セバスティアン、サンパウロ、サラエヴォなどの映画祭で次々と観客賞を受賞。半年間に12カ国で17の賞を受賞するなど、上映される国々で、観客の熱狂的な支持を受けている。そのユーモア・センスと痛烈なメッセージ性によって世界中の観客を魅了し、ユナイテッド・アーティスツ配給による全米公開でも話題沸騰の本作がついに日本上陸!
 1993年、ボスニアとセルビアの中間地帯<ノー・マンズ・ランド>に取り残された、ボスニア軍兵士チキとセルビア軍兵士ニノ。お互い殺すか、殺されるかの緊迫した状況の中、交わされる二人の会話。戦争に巻き込まれ互いを憎みあいながらも、一体何故争っているのか分からずにいる二人の間に幾たびか心を通わせる瞬間が訪れるのだが...。彼らの一触即発の駆け引きを、ユーモラスかつスピーディーに描きながらも、戦争の愚かさが浮き彫りにされ、観る者の胸に突き刺さる傑作である。


卓越したユーモアと痛烈なメッセージ
...平和こそすべて

 “笑いとメッセージを混在させるという、映画にとって決して容易ではないことに成功している。わかりやすく、独り善がりにならず、一方的でない。そのストーリー・テリングは観る者の興味を引き、一瞬たりとも飽きることがない”(ムッシュウ・シネマ)という評が示すとおり、『ノー・マンズ・ランド』はユーモアに溢れ、なおかつ強烈なメッセージを持つという、稀有な作品である。
 敵対する二人の兵士の関係が二転三転する展開、体の下に地雷を仕掛けられた兵士というオリジナリティー溢れる設定。そして、彼らを巡る国連防護軍の無力さ、先を争って戦況の最前線を報道しようとするマスコミの偏執ぶり。ユーモアたっぷりに描かれる登場人物のやりとりは観る者の大きな笑いを誘い、リズム感あふれるスピーディーな展開で一気に引きつける。
 衝撃のラストシーンには、無意味な戦争、それをとりまくあらゆる状況への痛烈な批判が込められている。登場人物の誰の立場に立つこともなく、ボスニア紛争を善悪の二元論に陥ることなく描き、人間同士が争うことがいかに愚かで悲しいかという、普遍的なメッセージを持つ作品に仕上げている。

ビジュアル
ビジュアル

驚異の新人タノヴィッチのもとに結集したヨーロッパ中の才能
 本作が長編劇映画デビュー作となる監督のダニス・タノヴィッチはボスニア・ヘルツェゴヴィナ生まれの32歳。1992年に勃発したボスニア紛争の最前線に、自らカメラを持って立ち、300時間以上に渡る戦地の映像を撮影。その時の戦況を追った多くのドキュメンタリー映像は、世界中で放映された。彼自身の手による脚本は見事に練られ、デビュー作と思えない完成度を持っている。そのストーリーテリングの巧みさは、世界中の観客を熱狂させ、タノヴィッチは早くもこの一作で、次回作が渇望される監督の一人となった。
 キャスト、スタッフともにヨーロッパ中から才能が集められた。『ビフォア・ザ・レイン』『奇跡の海』のカトリン・カートリッジ(ジェーン記者)、『眺めのいい部屋』『恋におちたシェイクスピア』のサイモン・カロウ(ソフト大佐)というイギリスの名優を脇に配し、ボスニア人(チキ)、クロアチア人(ニノ、ツェラ)、スロヴェニア人(ドイツ人の地雷撤去班員)、オランダ人(デュボア大尉)、ベルギー人(マルシャン軍曹)というように、まさしくヨーロッパ中の俳優がキャスティングされている。
 スタッフも、撮影監督のウォルター・ヴァンデン・エンデ(『カストラート』)と録音のアンリ・モレルといったベルギー人スタッフと、ロケ地であるスロヴェニア人スタッフの他、クロアチア人、ボスニア人、セルビア人といった混成チームが結成された。