キェシロフスキはいつも人生を少し別の角度から見ている。
私たちはキェシロフスキの映画に出逢うことで、
人生にとって忘れがちな大切な瞬間に気づくのだ。
ジュリエット・ビノシュ
〜「トリコロール 青の愛」主演女優〜
彼はいつも、人間を顕微鏡で覗いている。
だから、彼の映画は他のどの映画にも似ていなくて、特別なのだ。
ジュリー・デルピー
〜「トリコロール 白の愛」主演女優〜
キェシロフスキ監督の映画をみていると、微熱のあるときのような気持ちになる。映像が音楽的なせいかもしれない。場面がきれぎれに頭のなかを流れ、意識と無意識のあいだをただよっている感じ。ときどき、なにかの拍子にびっくりするほどさえざえする瞬間があるのだが、あとはみんな少し遠い出来事のように、もどかしい儚さを帯びている。
たぶん、距離感なのだろう。物語が近いのか遠いのかわからない。手をのばせば届きそうでいて、でも決してさわれない。馴々しくないのだ。その硬質な感じを、私はいつも好ましく思う。
江國香織さん(作家)
〜『トリコロール』劇場用パンフレットより〜
<順不同>
|