器が大きい、とても美しい映画。
みながこの家族に起きたことを自分の家族の問題として考えられたら
日本はどんなに豊かになるだろう。
目に見えない放射能が人間の暮しや家族の絆を侵していく道程のリアリティが凄い。
それでも最後に侵されない人間の愛だけが希望として残る。
言葉では言い表せない大事がこの映画に凝縮され、ただただ胸が詰まる。
そして、涙がこぼれ落ちた。
希望は常に、絶望のすぐそばに寄り添って存在する。
天災だろうが人災だろうが、夫婦、親子の絆は絶ちきれぬ。
人間の情の深さを悲惨の中で美しく表わし胸を打つ。
3.11の稀なるとらえかたに拍手の涙である。
絶望の果てにたどりついたのは、長年、苦楽をともにしてきた夫婦愛だった。
老夫婦が愛を確め合うシーンには涙が出た。
監督の作品はアナーキーなのに詩的なところが面白い。
福島や原発のことも当事者でないから想像するしかないけれど
『希望の国』を観ることで少しだけ近づけたような気持ちになりました。
試写会ですら映画の感想を求められるのを回避して尻込みする評論家が続出したと聞く。
これは、なんという逆説であり事件か。
今、まさに観客が真っ向から迎え撃ち、目撃し語るべき映画だ!!
見終えて終わりでなく、ずっと引っかかりました。
昔の映画には感じていたけど、最近こんな映画には出会えていません。
名シーンだらけの映画です。
深刻な問題を抱えながらもたくましく生きようとする家族たちの姿が印象的。
じわじわと心に響く作品でした。
この映画は、架空の出来事としてではありますが、
3・11フクシマで被災した当事者の苦悩と、必死の希望を描いた貴重な作品です。
見終わって胸が張り裂けそうでした!
知らずに済ませてはいけない!
原発の前代未聞のニュースが流れ、
リモコンでチャンネル変えたらお笑い番組が流れている...
そのシーンに気持ちをえぐられた。
絶望の中で幸せを見つけるために、僕ら夫婦はどうするだろう。
撮りたいものを撮る。撮るべきものを撮る。
そんな男の存在こそがこの国の希望に他ならない。我々は見るべきものを見るだけだ。
園子温は問題作しか作らない。
問題作しか作ってこなかった園子温が作った最新で最大の問題作がこの『希望の国』だ。
映画の警鐘が国を希望に導く希少な例になることを祈る。
ただ、希望の希と希少の希が同じなのが少しだけ気にはなるが…
園子温作品の過剰さ。
それがまるで抜け落ちた、恐ろしく淡々と現実に忠実な本作は、
現実のほうが過剰になってしまった今を気付かせる。
この過剰な現実を演出していかなければならない僕たちには、
希望というアイテムしか、もはや持ち合わせない。
この国の我々全員が直面しながらも
メディアが報道しない大きな問題
"そこ"にある生き方(生活、人間)を我々が見ないほうがおかしい
『希望の国』は我々全員が当事者で我々全員が主人公の物語
登場人物たちの苦境に寄り添い、愛情や思いやりの表出を丁寧に追う。
夏八木勲をはじめとした役者の誇り高い演技が共感を呼ぶ。
荒れ地が雪で覆われるシーンの美しさはポエティック!
『希望の国』で描かれるのは「絶望的に見える世界」だ。
しかし、主人公たちが織りなす愛情や家族愛に我々は希望を見出すことができる。
廃墟の中に現われる子どもたち、雪上で踊る老夫婦、広がる青い空……
いくつものシーンが心に焼き付いて離れない。
園子温がまたしても素晴らしい作品を完成させた!
地震や原発事故を過激に描き出すのではなく、
突如訪れた悲劇の中で一日一日を必死に生きる人々を
繊細かつ感動的に活写する。
3.11の黙示録。
でも、希望は残っている。
園子温監督が伝える偉大な生命の賛美だ!