世界の姿を、五感を押し広げてどこまでも受け止める主人公の刑事ファラオンを通じて、映画は、人間が極限的な状況でどう振舞うことができるのかを問いかけながら、人間としての“生”の輪郭を際立たせていく。それによって、人間の深い精神性までもが、フィルムに刻みつけられていく。
ラストシーン、途方もない愛でファラオンが犯人と向き合う場面では、タイトルが表す壮大なテーマ――“人間性(ユマニテ)”とは何かという問いが、静かな感動とともに、観る者に投げかけられていくだろう。
ブリュノ・デュモン監督 衝撃のデビュー作
『ジーザスの日々』
(原題“LA VIE DE JESUS”)
BOX東中野にて上映中