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  1999年10月1日、建国五十年を迎えた中国は、約二十年に及ぶ改革・開放政策の時代の中で市場経済の発展、消費の拡大を実現した。しかし、その一方で大都市と農村の落差は大幅に増大、失業者や犯罪者の問題も、事実として看過出来ないものとなっている。本作の舞台となった地方都市、山西省・汾陽(フェンヤン)は監督の出身地。「二年ぶりに帰郷した折に、人々の生活に心をゆさぶられるような変化を感じた」という監督は、その移りゆくさまをつぶさに捉えようと思い立ち、他の企画を急遽変更して『一瞬の夢』を撮ろうと決意したという。 映画は、そうした厳しい現実の姿を生々しく捉えながら、同時に、細部への卓越した描写力で登場人物たちの感情の機微をすくい取る。そして、社会に適応出来ない人間の愚かさや痛みを、人生を通過していく中で誰しもが直面したり、感じたりするような一つ一つの具体的な出来事の瞬間へと凝縮させていく。周到かつ繊細な思考と、その上で現場での即興を積極的に取り込んでいく懐の深い演出。第一作にしてジャ・ジャンクー監督は、その測り知れない才能をいかんなく見せつけている。
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