主人公の青年・小武(シャオウー)は、社会の現実と向かい合い、自立していくことを覚えていかなければならない年代を迎えている。スリ仲間だったヨンは、青年実業家として生まれ変わった。だが、小武は足を洗うこともなくスリを繰り返し、声のかからなかったヨンの結婚式にも、スリで作った祝い金を渡しに行く。だがヨンにとっては、それは迷惑でしかなかった。重い空気が流れる中、小武はヨンに金を叩き付けて出て行ってしまう。
ヨンとの一件の後、小武はカラオケ・バーでメイメイと出会う。小武にとって、彼女の歌う歌は、渇いていた心を癒してくれる思いがけない贈り物だった。小武はメイメイが病気だと知り、"見舞い"にアパートを訪ねる。警戒する彼女に、ぎこちなく、優しく振る舞おうとする小武。そんな彼を、メイメイは、孤独な心にふと手を差し伸べてくれた存在として、次第に受け止めていく。お互いのことを語り合い、一曲の歌を歌うメイメイと、それを聴く小武の間に、偶然のように訪れる小さな幸福。現実を忘れて、思いがけず二人は甘美な時間を共有する。小武の胸には、今まで考えてもみなかった、将来への「夢」が芽生えた。だが、お互いの抱える「現実」が、すぐさま二人の間に容赦なく立ちはだかっていくことになる…。 |
一瞬の夢
小武 Xiao Wo
|