容赦ない自然の中で生まれる、
少年と少女の切ない愛の神話

砂漠の村。煉瓦を造って暮らしている11歳の少年イリア。村にやって来た季節労働者の娘リムア。ふたりは微笑みあい、互いの名前を叫びあう。いつしか心をかよわせ、小さな愛情を育んでゆく。やがて、砂漠に雨季の到来を告げる雨が降る。季節労働者たちが村を去る時がやってくる。

『ダンス・オブ・ダスト』は、少年イリアと少女リムアの純粋な心のうちを綴っていく。ふたりは決して話すことなく、まなざしや叫び声、表情で"会話"する。リムアは手型を刻んだ煉瓦をイリアに、イリアは手の型のお守りをリムアに渡し、決して手に触れることなく、お互いの"手の温もり"を感じあう。音をたてて吹き続ける風、ふたりを包み込む砂の大地、すべてを溶かす雨。容赦ない自然の中で、芽生えるふたりの愛情は、心の奥で結びつき、"強さ"と、さらには"崇高さ"をも感じさせずにはおかない。

ダンス・オブ・ダスト画像
ダンス・オブ・ダスト画像