ROBERT ALTMAN
1925年2月20日、ミズーリ州カンザス・シティの中流階級の家に生まれる。父バーナードは生命保険のセールスで成功を収めた地元の名士。妹ふたり、従姉もよく遊びに来る家で、女性に囲まれて育った。18歳で空軍に志願、オランダ領東インド諸島のモロタイ島に駐屯。

除隊後は、テレビで演出を手がけ、『宇宙大征服』(68年)でハリウッド映画デビュー。『M★A★S★H マッシュ』(70年)でカンヌ国際映画祭パルムドール受賞。『ビッグ・アメリカン』(76年)でベルリン国際映画祭金熊賞、『ショート・カッツ』(91年)でヴェネチア国際映画祭金獅子賞、2002年にベルリン映画祭名誉金熊賞、06年にアカデミー名誉賞受賞。その他の代表作に『ロング・グッドバイ』(73年)『ナッシュビル』(75年)『ショート・カッツ』(93年)『ゴスフォード・パーク』(01年)など。

映画製作に関して決して自分を曲げないアルトマンは、スタジオや幹部との衝突が絶えなかった。大成功をしても大失敗をしても、何とか術を見つけ、ほぼ1年に1作のペースで自分の撮りたい映画を作り続けた。「同じ映画は二度と撮らない」と公言し、戦争からファッション、西部劇からSFと、多岐にわたるジャンルの映画を製作。

喧嘩早いが、いつもユーモアを忘れず、飄々として憎めない存在。映画製作に対してのゆるぎない姿勢、独自の芸術的センス、そして圧倒的な人間力によって、俳優をはじめ多くの映画人に尊敬された。

インディペンデント映画を対象にしている、インディペンデント・スピリット賞では、「ロバート・アルトマン賞」という名のアンサンブル賞(集団演技賞)がある。また、全米で2番目に歴史のある映画批評家協会である、カンザスシティ映画批評家協会賞でも、「ロバート・アルトマン賞」という名で監督賞 が設けられているなど、アメリカ・インディペンデント映画の父として映画界に大きな存在感を放っている。

プライベートでは、2度の短い結婚を経て、1959年にキャスリン・リードと結婚し最後まで添い遂げた。子ども6人(アルトマンの連れ子3人―クリスティーン、マイケル、スティーヴン、キャスリンの連れ子コニー、ふたりの子ボビー、養子のマシュー)、8人の大家族。スティーヴンとボビーはアルトマン組のスタッフとして活躍した。

2006年11月20日、ロサンゼルスにて没。享年81。

 
1957
「The Delinquents」(1955製作/未)
『ジェームズ・ディーン物語』 The James Dean Story
1964
「Nightmare in Chicago」(テレビ映画/未)
「The Party」(短編/未)
1965
「The Katherine Reed Story」(短編/未)
「Pot au feu」(短編/未)
1968
『宇宙大征服』 Countdown
1969
『雨にぬれた舗道』 That Cold Day in the Park
1970
『M★A★S★H マッシュ』 M★A★S★H
1970 カンヌ国際映画祭パルムドール、アカデミー賞脚色賞、全米映画批評 家協会賞作品賞、カンザス・シティ映画批評家協会賞監督賞、同賞助演女優 賞サリー・ケラーマン 1971 ゴールデン・グローブ賞作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、 英国アカデミー賞国連賞、全米脚本家組合賞
『BIRD★SHT』 Brewster McCloud
1971
『ギャンブラー』 McCabe & Mrs.Miller
1972
『イメージズ』 Images
1972 カンヌ国際映画祭女優賞スザンナ・ヨーク
1973
『ロング・グッドバイ』 The Long Goodbye
1974 全米映画批評家協会賞撮影賞ヴィルモス・スィグモンド
1974
『ボウイ&キーチ』 Thieves Like Us
1974 ナショナル・ボード・オブ・レビューTOP10
『ジャックポット』 (未/DVD)California Split
1975
『ナッシュビル』 Nashville
1975 ニューヨーク映画批評家協会賞作品賞、同監督賞、全米映画批評家協会賞作品賞、同監督賞、ナショナル・ボード・オブ・レヴュー作品賞、同監督賞(両賞とも『バリー・リンドン』スタンリー・キューブリックと同位)、アカデミー賞主題歌賞「アイム・イージー」、ダヴィット・ディ・ドナテッロ賞(伊)、AFI賞(豪)外国映画賞、カルタヘナ映画祭監督賞
1976
『ビッグ・アメリカ』 Buffalo Bill and the Indians, or Sitting Bull’s History Lesson
1976 ベルリン国際映画祭金熊賞
1977
『三人の女』 3 Women
1977 カンヌ国際映画祭女優賞シュリー・デュヴァル、ロサンゼルス映画批評家協会賞女優賞シュリー・デュヴァル、ニューヨーク映画祭助演女優賞シシー・スペイセク
1978
『ウェディング』 Wedding
1978 サン・セバスチャン映画祭女優賞キャロル・バーネット
1979
「クインテット」(未/DVD) Quintet
「パーフェクト・カップル おかしな大恋愛」(未) A Perfect Couple
1980
「H.E.A.L.T.H.」(未) HealtH
『ポパイ』 Popeye
1982
『わが心のジミー・ディーン』 Come Back to the Five and Dime, Jimmy Dean, Jimmy Dean
1982 シカゴ映画祭大賞
1983
『ストリーマーズ 若き兵士たちの物語』 Streamers
1983 ヴェネチア国際映画祭男優賞マシュー・モーディン、マイケル・ライト、ミッチェル・リヒテンシュタイン、デヴィット・アラン・グリア、ガイ・ボイド、ジョージ・ズンザ
1984
『名誉ある撤退~ニクソン』 Secret Honor
1985
「The Laundromat」(未)(テレビ映画)
『フール・フォア・ラブ』 Fool for Love
1985 トロイヤ国際映画祭金のイルカ賞
1987
「突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録」(未/ビデオ) O.C. and Stiggs
『ニューヨーカーの青い鳥』 Beyond Therapy
「ベースメント』(未/ビデオ) Basements(テレビ映画)
『アリア』 Aria /セグメント5『アバリス』
1988
「軍事法廷/駆逐艦ケイン号の叛乱」(未/ビデオ)(テレビ映画)The Caine Mutiny Court-Martial
1988 モンテカルロ・フェスティバル監督賞
1990
『ゴッホ』 Vincent & Theo
1992
『ザ・プレイヤー』 The Player
1992 カンヌ国際映画祭監督賞、同男優賞ティム・ロビンス、ニューヨーク映画批評家協会賞作品賞、同監督賞、ボストン映画批評家協会賞監督賞、シカゴ映画批評家協会賞監督賞、ゴールデン・グローブ賞ミュージカル/コメディ部門作品賞、同主演男優賞ティム・ロビンス、ボーディル賞(デンマーク)米映画作品賞、全伊映画記者組合賞監督賞、同外国映画賞、英アカデミー賞監督賞、米監督組合賞功労監督賞、米南東部(アラバマ、ジョージア、ノース・キャロライナ、サウス・キャロライナ、テネシー、ヴァージニア各州)映画批評家協会賞監督賞
1992 インディペンデント・スピリット賞ジョン・カサヴェテス賞、USA映画祭偉大なる映画賞
1993
『ショート・カッツ』 Short Cuts
1993 ヴェネチア国際映画祭金獅子賞(『トリコカラー/青の愛』と同位)、同ヴォルピ杯アンサンブル・キャストへの授章、インディペンデント・スピリット賞脚本賞、同監督賞、ボーディル賞米映画作品賞、ボストン映画批評家協会賞脚本賞、スウェーデン映画批評家賞作品賞
1978 ジョゼフ・プラトー生涯功労賞
1994
『プレタポルテ』 Prêt-à-Porter (Ready to Wear)
1994 ナショナル・ボード・オブ・レビュー集団演技賞
1994 米監督組合賞D・W・グリフィス賞生涯功労賞、シネマ・アーツ・センター賞インディペンデント映画の芸術表現向上促進におけるユニークな功績に対して、ニューヨーク・リンカーン・センター映画協会特別上映
1995 米映画編集者賞ゴールデン・エディ賞
1996
『カンザス・シティ』 Kansas City
1996 ニューヨーク映画批評家協会賞助演男優賞ハリー・ヴェラフォンテ、LA映画批評家協会賞作曲賞
1996 ヴェネチア国際映画祭栄誉金獅子賞生涯功労賞、AFIアメリカ映画協会名誉芸術博士号、ミシガン大学芸術博士号
1998
『相続人』 The Gingerbread Man
1998 古典的インディペンデント映画祭(サンフランシスコ)名誉インディペンデント監督賞
1999
『クッキー・フォーチュン』 Cookie’s Fortune
1999 ドイツ・アート系映画館組合賞、ダラス/フォートワース映画批評家協会賞助演女優賞ジュリアン・ムーア
1999 米撮影監督協会理事会賞
2000
『Dr. Tと女たち』 Dr.T and the Women
2000 ゴッサム賞(インディペンデント・フィーチャー・プロジェクト提供)生涯功労賞
2001
『ゴスフォード・パーク』 Gosford Park
2002 ゴールデン・グローブ賞監督賞、アカデミー賞オリジナル脚本賞、米映画協会賞監督賞、英アカデミー賞アレキサンダー・コルダ賞(最優秀英国作品賞)、同衣装デザイン賞、イヴニング・スタンダード英国映画賞作品賞、放送映画批評家協会賞集団演技賞、フロリダ映画批評家協会集団演技賞、ゴールデン・サテライト賞助演賞(コメディ/ミュージカル部門)マギー・スミス、同集団演技映画賞、同特別功労賞、全伊英が記者組合賞銀賞監督賞、同外国映画賞、カンザス・シティ映画批評家協会賞助演女優賞マギー・スミス(『ビューティフル・マインド』ジェニファー・コネリーと同位)、ロンドン批評家協会映画賞英国映画作品賞、 同助演女優賞へレン・ミレン、全米映画批評家協会賞監督賞、同脚本賞、同助演女優賞へレン・ミレン、オンライン映画批評家協会賞集団演技賞、脚本家組合賞助演女優賞へレン・ミレン、同劇場映画集団演技賞、米南東部映画批評家協会賞助演女優賞マギー・スミス(『ビューティフル・マインド』ジェニファー・コネリー、『イン・ザ・ベッドルーム』マリサ・トメイと同位)、全米脚本家組合賞オリジナル脚本賞
2002 ベルリン国際映画祭名誉金熊賞
2003
『バレエ・カンパニー』 The Company
2003 サンフランシスコ国際映画祭映画協会賞監督としての生涯功労賞
2004 LA映画批評家協会賞功労賞
2006
『今宵、フィッツジェラルド劇場で』 A Prairie Home Companion
2006 ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・モルゲンポスト読者審査員賞
2007 全米映画批評家協会賞助演女優賞メリル・ストリープ
2006 アカデミー賞名誉賞