イントロダクション
最愛の人の帰りを「待つ女」たち。それぞれの人生が交差していく       
複雑な人間の感情と本質を鋭く炙りだした人間ドラマの新たなる傑作。
北の離島の美しい港町。登美子の夫が突然姿を消してから30年の時が経った。彼はなぜいなくなったのか。生きているのかどうか、それすらわからない。漁師の春男が登美子に想いを寄せ続けるも、彼女は愛する人とのささやかな思い出を抱きしめながら、その帰りをずっと待っている。そんな登美子のもとに、2年前に失踪した夫を探す奈美が現れる。彼女は自分のなかで折り合いをつけ、前に進むために、夫が「いなくなった理由」を探していた。ある日、登美子は街中で偶然、失踪した奈美の夫・洋司を見かけて…。
ある日突然、最愛の人がいなくなる。残された者は幾度も「なぜ」を問い、幾夜も悲しみに沈む夜を過ごす。狂おしい日々を背負いながらも「待つ女」のもとに現れる、もうひとりの「待つ女」。そして、「戻ってきた男」――。北の離島でそれぞれの人生が交差し、登美子の日常は静かに、確実に波打っていく…。人はどれだけ愛した人のことを解っているのか。教義だけでは説明しきれない複雑な人間の感情と本質を鋭く炙りだし、観る者の心を様々に揺さぶる人間ドラマの新たなる傑作が誕生した。
田中裕子主演最新作。日本映画界屈指の実力派俳優陣が集結。
主演はキネマ旬報ベスト・テン主演女優賞など数々の受賞歴を持ち、日本映画界を代表する俳優・田中裕子。夫の帰りを待ち続けるひとりの女性の強さや脆さを繊細に体現する。田中演じる登美子とは対照的な女性・奈美を熱演するのは、キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞ほか各映画賞の主演女優賞を多数受賞した『茜色に焼かれる』(21)の演技が記憶に新しい、尾野真千子。登美子に想いを寄せる漁師の春男をダンカン、失踪した奈美の夫・洋司を安藤政信が演じるほか、白石加代子、平泉成、小倉久寛ら、物語に深みをもたらす実力派俳優陣が集結した。
年間約8万人     。それは日本全国の警察に届けられる行方不明者の数。
ドキュメンタリー出身監督が「失踪者リスト」から着想を得て、8年もの歳月をかけて完成に至る。
日本では年間約8万人が人知れず消え、そして今もどこかで誰かを待ち続ける人がいる。そこにはいったいどんな物語が隠されているのか。その事象に興味を持ったドキュメンタリー出身の久保田直監督が映画化。久保田監督はギャラクシー大賞をはじめ数々の受賞歴を持ち、劇映画デビュー作の『家路(14)がベルリン国際映画祭パノラマ部門正式出品の快挙を成し遂げるなど、国際的な評価を積み上げてきた。脚本は青木研次によるオリジナル。田中裕子とは、映画『いつか読書する日』(05)、『家路』、ドラマ「この街の命に」(16/WOWOW)以来4度目、久保田直監督とは、映画『家路』以来2度目のタッグとなる。
ストーリー
北の離島の美しい港町。登美⼦の夫・諭が突然姿を消してから30年の時が経った。
彼はなぜいなくなったのか。⽣きているのかどうか、それすらわからない。
漁師の春男が登美⼦に想いを寄せ続けるも、彼⼥は愛する⼈とのささやかな思い出を抱きしめながら、その帰りをずっと待っている。

そんな登美⼦のもとに、2年前に失踪した夫を探す奈美が現れる。
「理由が欲しいんです。彼がいなくなった理由。自分の中で何か決着がつけられればって」
彼⼥は前に進むために、夫が「いなくなった理由」を探していた。

奈美が登美子に問いかける。「悲しくないですか?待ってるのって」
「帰ってこない理由なんかないと思ってたけど、帰ってくる理由もないのかもしれない」と登美子。

しばらくして、奈美は新しい恋人ができたため、夫・洋司と離婚したいという。
そんなある⽇、登美⼦は街中で偶然、失踪した洋司を⾒かけて…。
キャスト
田中裕子若松登美子役
1955年4月29日、大阪府出身。『ええじゃないか』(81/今村昌平監督)、『北斎漫画』(81/新藤兼人監督)で第24回ブルーリボン賞助演女優賞、第5回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、新人俳優賞をW受賞。『天城越え』(83/三村晴彦監督)では第7回モントリオール世界映画祭主演女優賞、第26回ブルーリボン賞主演女優賞、第57回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞、第38回毎日映画コンクール女優主演賞を受賞し、『いつか読書する日』(05/緒方明監督)、『火火』(05/高橋伴明監督)で第79回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞、第30回報知映画賞主演女優賞、第60回毎日映画コンクール女優主演賞を受賞。ほか、主な出演映画は『カポネ大いに泣く』(85/鈴木清順監督)、『嵐が丘』(88/吉田喜重監督)、『ホタル』(01/降旗康男監督)、『共喰い』(13/青山真治監督)、『ひとよ』(19/白石和彌監督)、『おらおらでひとりいぐも』(20/沖田修一監督)など。久保田直監督とは、映画『家路』(14)に次ぐ2作目、青木研次とは、映画『いつか読書する日』、『家路』、ドラマ「この街の命に」(16/WOWOW)に次ぐ4作目のタッグとなる。
尾野真千子田村奈美役
1981年11月4日、奈良県出身。『萌の朱雀』(97/河瀨直美監督)で映画主演デビューし、第10回シンガポール国際映画祭主演女優賞を受賞。以降、第60回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作『殯の森』(07/河瀨直美監督)、『クライマーズ・ハイ』(08/原田眞人監督)などに出演し、第66回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞作『そして父になる』(13/是枝裕和監督)で第37回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。テレビドラマ「Mother」(10/NTV)、連続テレビ小説「カーネーション」(11/NHK大阪)、「最高の離婚」(13/CX)ほか、近年の出演映画に『影踏み』(19/篠原哲雄監督)、『ヤクザと家族 The Family』(21/藤井道人監督)、『明日の食卓』(21/瀬々敬久監督)、『ハケンアニメ!』(22/吉野耕平監督)、『こちらあみ子』(22/森井勇佑監督)、『ミニオンズフィーバー』(22/カイル・バルダ監督)[ベル・ボトム役日本語吹き替え]、『サバカン SABAKAN』(22/金沢知樹監督)など。『茜色に焼かれる』(21/石井裕也監督)では各映画賞の主演女優賞を多数受賞した。
ダンカン藤倉春男役
1959年1月3日、埼玉県出身。お笑いタレント、俳優、放送作家、脚本家、映画監督とマルチに活躍する。主な出演映画は『3-4x10月』(90/北野武監督)、『ドッペルゲンガー』(03/黒沢清監督)、『容疑者Xの献身』(08/西谷弘監督)、『白ゆき姫殺人事件』(14/中村義洋監督)、『ラ』(19/高橋朋広監督)、『セブンティーンモータース』(19/伊藤拓也監督)、『東京喰種トーキョーグール』シリーズ(17、19)、『Fukushima50』(20/若松節朗監督)、『異物‒完全版‒』(22/宇賀那健一監督)、ドラマは「警視庁ゼロ係season5」(21/テレビ東京)、「99.9‒刑事専門弁護士‒SEASON II」(18/TBS)、「銀と金」(17/テレビ東京)、大河ドラマ「おんな城主直虎」(17/NHK)、「科捜研の女」(21/テレビ朝日)など。『生きない』(98/清水浩監督)、『浅草キッドの「浅草キッド」』(02/篠崎誠監督)では脚本を担当し、『七人の弔』(05)では監督・脚本・主演を務めた。
安藤政信田村洋司役
1975年5月19日、神奈川県出身。俳優であり写真家。短編映画制作プロジェクトでは『MIRRORLIAR FILMS』(21)で初監督も務める。『キッズ・リターン』(96/北野武監督)で主演を務めデビューし、多数の映画賞を受賞。雑誌「GQ JAPAN」などで撮影するほか、フォトフェア「ART PHOTO TOKYO」にて作品展示を行うなど、写真家としても積極的に活動している。
白石加代子藤倉千代役
1941年12月9日、東京都出身。67年に早稲田小劇場入団後、「舌切り雀」で舞台デビュー。89年に退団後は舞台「身毒丸」や「メアリー・スチュアート」に出演するほか、92年からスタートした鴨下信一氏演出による「百物語」の公演はライフワークとなっている。ほか、主な出演作は『八つ墓村』(96/市川崑監督)、『海猫』(04/森田芳光監督)、『全然大丈夫』(08/藤田容介監督)、『海辺の映画館―キネマの玉手箱』(20/大林宣彦監督)、大河ドラマ「花燃ゆ」(15/NHK)、連続テレビ小説「ひよっこ」(17/NHK)など。
平泉成若松俊雄役
1944年6月2日、愛知県出身。64年に大映京都第4期ニューフェイスに選ばれ、『酔いどれ博士』(66/三隅研次督)でデビュー。以後、映画、テレビドラマなど幅広く活躍。主な出演映画は『書を捨てよ町へ出よう』(71/寺山修司監督)、『その男、凶暴につき』(89/北野武監督)、『蛇イチゴ』(03/西川美和監督)、『花とアリス』(04/岩井俊二監督)、『誰も知らない』(04/是枝裕和監督)、『シン・ゴジラ』(16/庵野秀明監督)、『マイスモールランド』(22/川和田恵真監督)、『20歳のソウル』(22/秋山純監督)など多数。
小倉久寛入江春弼役
1954年10月26日、三重県出身。三宅裕司率いる劇団スーパー・エキセントリック・シアターの旗揚げメンバー。主な出演映画は『夢見通りの人々』(89/森崎東監督)、『あした』(95/大林宣彦監督)、『ロード88 出会い路、四国へ』(04/中村幻児監督)、『蝉しぐれ』(05/黒土三男監督)、『探偵ミタライの事件簿星籠の海』(16/和泉聖治監督)、ディズニー映画実写版『美女と野獣』(17/ビル・コンドン監督)[コグスワース役日本語吹き替え]、『空母いぶき』(19/若松節朗監督)、『Fukushima50』(20/若松節朗監督)など。
スタッフ
監督・編集久保田直
1960年、神奈川県出身。大学卒業後、1982年からドキュメンタリーを中心としてNHK、民放各社の番組制作に携わる。2007年MIPDOCでTRAILBLAZER賞を受賞し、世界の8人のドキュメンタリストに選出される。2011年に文化庁芸術祭参加作品「終戦特番青い目の少年兵」(NHKBSプレミアム)を演出。劇映画デビュー作『家路』(14)が第64回ベルリン国際映画祭パノラマ部門をはじめ、第38回香港国際映画祭、第17回上海国際映画祭に正式出品され、第19回新藤兼人賞金賞、第36回ヨコハマ映画祭森田芳光メモリアル新人監督賞を受賞した。
Filmography
[テレビ番組]
NHKスペシャル「忘れられた戦場」(96) ATP優秀賞
CS開局スペシャル(地球の声)「15歳」(98) ATP特別賞、郵政大臣審査委員会特別賞
NHKスペシャル「家族の肖像」(98) ギャラクシー大賞
テレビ東京「ガイアの夜明け 特許戦争最前線」(02) ギャラクシー賞奨励賞
NHK「地球に好奇心 南米に響く黒人音楽」(04) ATP最優秀賞
NHK ハイビジョン特集「徹底分析・伝説のレーシングバイク」(05) NHK衛星放送局長賞
NHK BS世界のドキュメンタリー「証言でつづる現代史~ダッカ・ハイジャック事件~」(06) ATP最優秀賞
NHKスペシャル「にっぽん・家族の肖像」(07) ATP優秀賞
NHK BS世界のドキュメンタリー「いのちの声~コロンビア誘拐被害者へのラジオ放送~」(09) 総務大臣賞、ATP賞
NHK BS世界のドキュメンタリー「告白~カミングアウト~」(10)
NHK 終戦特番「青い目の少年兵」(11) 2011年文化庁芸術祭参加作品

[映画]
『家路』
第64回 ベルリン国際映画祭 パノラマ部門正式出品
第38回 香港国際映画祭 Global Vision部門正式出品
第17回 上海国際映画祭 アジアン・ニュータレント・アウォード部門正式出品
第19回 新藤兼人賞 金賞
第36回 ヨコハマ映画祭 森田芳光メモリアル新人監督賞
監督コメント
ある日突然、
理由もわからないまま家族が失踪してしまったら、
残された者は何を思うのだろうか。
どれだけ待ち続けることが出来るのだろうか。
人はどのような時に姿を消したいと思うのだろうか。
そんな思いが心に掛かり、
愛する人とのささやかな思い出を抱きしめながら、
待ち焦がれる女性の姿を描いてみたいと思いました。
そして、最高のキャストとスタッフが集まってくれました。
佐渡島を舞台に、
狂おしい日々を背負いながら、待ち続ける主人公。
これは、愛の映画です。
不可能な、しかし、奇跡的な。
コロナ禍を乗り越え、8年と言う年月をかけて
完成させることが出来たこの作品。
一人でも多くの方に届けられればと思います。
脚本青木研次
1958年生まれ。20代の頃よりテレビの構成作家としてノンフィクションを中心に数多くの番組を手掛ける。第50回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に正式出品された『独立少年合唱団』(00/緒方明監督)で原作・脚本を担当。第29回モントリオール世界映画祭審査員特別賞を受賞した、田中裕子主演作『いつか読書する日』(05/緒方明監督)では、第56回芸術選奨文部科学大臣新人賞、第8回日本シナリオ作家協会菊島隆三賞、第27回ヨコハマ映画祭脚本賞を受賞。ほか『スープ・オペラ』(10/瀧本智行監督)、『友だちと歩こう』(14/緒方明監督)など。テレビドラマでは「私立探偵濱マイク」(02/日本テレビ)、2016年度日本民間放送連盟賞テレビドラマ番組部門最優秀賞を受賞した「この街の命に」(16/WOWOW)、久保田直監督が演出を手掛けた「終戦特番青い目の少年兵」(11)でも脚本を担当。久保田直監督作とは『家路』(14)に次ぐ再タッグとなる。
音楽清水靖晃
作曲家・サキソフォン奏者。1980年代始めに活動した実験的ロック・バンド「マライア」で広く知られる。90年代後半、J.S.バッハ「無伴奏チェロ組曲」をテナーサキソフォンのために編曲、演奏するという世界初の試みに着手。音楽プロデューサー、作曲家、編曲家としてジャンルを超えたコラボレーションも積極的に行っている。映画音楽においては、第7回シネマ・アイ・オナーズオリジナル作曲賞受賞、第86回アカデミー賞®長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた『キューティー&ボクサー』(13/ザッカリー・ハインザーリング監督)をはじめ、『僕らはみんな生きている』(93/滝田洋二郎監督)、『カミュなんて知らない』(06/柳町光男監督)、『さや侍』(11/松本人志監督)、テレビドラマでは「透明なゆりかご」(18/NHK総合)、「空白を満たしなさい」(22/NHK総合)など。清水の作曲の根底にある“質感・空間・肌触り”から紡ぎ出される唯一無二の楽曲は、作品に寄り添い融合する。
撮影山崎裕
1940年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業後、『日本の華浮世絵肉筆』(67/中村正義・小川益王共同監督)でカメラマンデビュー。その後、記録映画、CM、TVドキュメンタリーなどで活躍。『ワンダフルライフ』(99)で初めて劇映画の撮影を手掛け、以降『誰も知らない』(04)、『歩いても歩いても』(08)、『海よりもまだ深く』(16)など是枝裕和監督作品の撮影を担当する。他の主な作品は『カナリア』(05/塩田明彦監督)、『俺たちに明日はないッス』(08/タナダユキ監督)、『2つ目の窓』(14/河瀨直美監督)、『永い言い訳』(16/西川美和監督)、『焼肉ドラゴン』(18/鄭義信監督)、『コンプリシティ/優しい共犯』(20/近浦啓監督)など。『トルソ』(10)では初監督を務めた。
照明山本浩資
1969年生まれ。代表作に『人のセックスを笑うな』(08/井口奈己監督)、『俺たちに明日はないッス』(08/タナダユキ監督)、『朱花の月』(11/河瀨直美監督)、『かぞくのくに』(12/ヤン・ヨンヒ監督)、『ニシノユキヒコの恋と冒険』(14/井口奈己監督)、『夫婦フーフー日記』(15/前田弘二監督)、『永い言い訳』(16/西川美和監督)、『ハローグッバイ』(17/菊地健雄監督)、『夜明け』(19/広瀬奈々子監督)、『おいしい家族』(19/ふくだももこ監督)、『コンプリシティ/優しい共犯』(20/近浦啓監督)、『喜劇 愛妻物語』(20/足立紳監督)など。
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