ひたむきに生きる人々の姿
    ― 篠崎誠の描く人間讃歌

監督は、若い夫婦の愛の絆を真摯に描いた『おかえり』が国内外で賞賛され、フランスでも5館で公開されるという破格のデビューを飾った篠崎誠。その5年ぶり待望の新作『忘れられぬ人々』は「太平洋戦争」、「老い」という社会的テーマを丹念に取り込みながら描く、老人たちの愛と勇気の物語。監督自ら、戦争を生き残った人々に取材を重ね、老人問題に関する資料や文献を徹底的に調べ上げて挑んだ意欲作は、日本映画の黄金期を支えてきた名優たちとの見事なコラボレーションによって普遍的なひろがりを持つ感動作へと昇華した。哀しみや喜びを乗り越えて長い人生を歩みながら、なおたくましく余生を送る老人たちの姿、また老人たちと心を通わせる看護婦の百合子、米軍に働く父親をもつ少年ケン、居酒屋に集まる客などそれぞれの日常をも際立たせながら、日々を懸命に生きる人々の姿をいきいきと描き出す。そして篠崎誠の、人間のひたむきな“生”に注がれる、その温かくもやさしいまなざしは、世代を越え、国境を越えて、生きることの勇気と希望を伝えてゆく。

『忘れられぬ人々』画像

忘れられぬ人々

解説キャストスタッフ
篠崎誠の描く人間讃歌
平均年齢78歳!名優たちの見事なアンサンブル