恋歌に綴られる、農奴の娘イシの50年にわたる愛の物語
1950年秋、チベットの小さな村。美しい歌声を持つ娘イシは3人の男と出会った。ツァンヤンギャツォ(ダライ・ラマ6世)の恋歌の詩集をくれた初恋の人、僧侶のサムチュ。親の借金の形に身受けし、限りなく寵愛し子供を授けた荘園の若旦那クンサン。そして掠奪同然に結ばれたならず者の行商人、夫のギャツォ。チベット現代史50年にわたる時代の波は否応なく彼らを呑み込んでゆく。翻弄されながらも、永遠の愛を探し求めたイシが最後にたどりついた心は・・・。
『チベットの女/イシの生涯』はイシと3人の男との愛の物語である。初恋、寵愛、掠奪愛という3つの愛に葛藤し、心に深い思いを抱きながら人生の最後を迎えようとするイシ。夫ギャツォの死の床で、止めどなく流す涙は、共に喜びや悲しみを乗り越え、育くんできた愛こそが永遠であることを意味している。イシがたどる愛に、誰もが自らの愛を顧み、涙するであろう。
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