イントロダクション

逆ギレが得意なぐうたら女子――
イメージを覆す、女優・前田敦子の新境地!

タマ子、23歳。現在、無職。父がひとり暮らしをする実家で、家事を手伝うこともなく、就職活動をすることもなく、ただ食べて、寝て、マンガを読む生活を送っている。テレビを見れば「ダメだな、日本は」とか「クソ暑いのに野球なんてよくやるよ」とか悪態をつき、近所の中学生には「あの人、友だちいないから……」と同情される、逆ギレばかりのぐうたら娘。それでもなぜか愛おしいタマ子を、音楽、ドラマ、映画とさらに幅広い活躍を見せ、今年出演した『クロユリ団地』が国内映画ランキング初登場1位を記録した前田敦子が、かつてない多彩な表情で演じてみせた。待望の最新主演作は、“前田敦子史上もっともぐうたらな前田敦子”が姿を現す必見の一作。彼女の女優としての新境地から目が離せない!

山下敦弘監督、6年ぶりのオリジナル作品
星野 源による主題歌「季節」が絶妙にマッチ!

「タマ子」という女の子の日常のひとコマを、四季おりおりの季節感あふれる情景と共に映し出す音楽チャンネル「MUSIC ON! TV(エムオン!)」のステーションIDから、この映画『もらとりあむタマ子』は生まれた。本作はアジア最大の映画祭である釜山国際映画祭A Window on Asian Cinema部門への出品も決定。30秒のステーションIDから生まれた映画作品が国際映画祭に出品されるという異例の展開を見せることになった。
監督は『リンダ リンダ リンダ』『マイ・バック・ページ』などの作品が国内外で高く評価される山下敦弘。『苦役列車』に続く前田敦子との顔合わせで、等身大な彼女の魅力を存分に引き出すことに成功した。また、脚本を務めるのは山下と大学時代からコンビを組み、近年は映画『ふがいない僕は空を見た』『陽だまりの彼女』などで才気を発揮する向井康介。2007年公開の『松ヶ根乱射事件』以来、約6年ぶりとなる山下と向井のオリジナル映画ができあがった。
そして、主題歌「季節」を提供するのは、今年リリースされた3rdアルバム『Stranger』が大ヒットし、映画『箱入り息子の恋』『地獄でなぜ悪い』で好演を見せた星野 源。誰かと過ごした季節の記憶を歌う美しい楽曲が、くすっと笑えて思わずほろっとする本作のエンディングをやさしく締めくくってくれる。主演・前田敦子、監督・山下敦弘、主題歌・星野 源という最強のコラボレーションがここに実現した。

タマ子の毎日:食べる、寝る、マンガを読む……
自分を肯定してばかりの“口だけ番長”
タマ子の明日はどっちだ?!

東京の大学を卒業したものの、父がスポーツ用品店を営む甲府の実家に戻ってきて、無気力な日々を送るタマ子。「就職活動してるのか?」という父の言葉に「その時が来たら動く。少なくとも今ではない!」と威勢がいいのか悪いのかわからない啖呵を切るが、秋から冬、そして春から夏へと季節が移りゆく中、タマ子の気持ちにも少しずつ変化が現れていく。履歴書を書き、就職への意欲を少しだけのぞかせるようになるタマ子。そんな矢先、父に再婚話が持ち上がり、彼女の心は激しく揺れる――。口を開けばいつも言い合いばかりしている父と娘。でも本心では、父は奔放な娘を愛しく思い、娘は不器用な父を思いやっている。モラトリアムな毎日を過ごすタマ子が、ゆっくりと新しい1歩を踏み出す四季の物語は、観る人をあたたかく穏やかな気持ちで包んでくれる。