海外評&コメント
海外評
シンプルでいて、心を掴んで離さない!
ダルデンヌ兄弟の虜だ!
主人公の力強い演技が物語に引き込んでいく。
明快な作家性、無駄のなさ、共感。
比類なき強度を持った作品。
優れた脚本、複雑なドラマ、スリリングなプロット。
十代の反抗の物語であると同時に自分を見つめ直す旅。
少年の選択する決断に、我々もまた左右される。
★★★★★
罪を犯し、贖罪のきっかけを見つけ出す物語。
彼らが扱い続けてきた「平凡な人間の物語」に
新たな1ページを加えた。
ダルデンヌ兄弟は、複雑な感情を持つキャラクターを、
生き生きと、そしてサスペンスフルに描き出す達人だ。
シンプルだからこそ、圧倒的な説得力を持つドラマ。
宗教と個人的な価値観。『その手に触れるまで』は、
緊張しながらも、現実世界としっかり対峙する。
社会の現実に根ざした感動的なドラマ。
シーンごとに説得力があり、決して感傷的にならない。
研ぎ澄まされ、緊迫した、倫理を問うサスペンスだ。
今日性があり、私たちが住む世界に必要な映画だ。
突然変化していく小さな出来事や
ジェスチャーを観察することから構築される、
とてつもなく壮大なスケールの映画。
カメラは裁かない。カメラは指摘しない。
ダルデンヌ兄弟は複雑に絡み合った問題を
なんともシンプルな方法で映し出す。
勇気と包容力あるダルデンヌ兄弟からのメッセージ。
秀でたアクション映画のように
緊迫感に溢れ、ハラハラドキドキする。
精密なシナリオ、繊細で鋭敏な舞台装置により、
イスラム過激派という複雑な主題に奇跡をもたらす。
素朴で洗練された緊張感のあるスタイル。
正直で未熟な子供と同じ目線から世界を描く。
稀な強さを持つ映画。
アメッドに共感する。
ダルデンヌ兄弟の才能に感謝したい。
映画初出演のイディル・ベン・アディが緻密な演技で
映画全体を支配する存在感をはなっている。
若者、憎しみ、他者への迎合、愛と原理主義の間。
社会問題をサスペンスという芸術に
昇華させる達人、ダルデンヌ兄弟。
私たちはあらゆる瞬間に震えるほど感動する。
13歳の若い戦士の旅を静かに描き出す。
ダルデン兄弟がまたやってくれた!
シンプルかつ血を凍らせるほどの力を持つ映画。
急進主義者を心理学的に論じないことで
ダルデンヌ兄弟は現実に勝利する。
宗教的教えに閉じこもった子供の殻を、
フィクションがいかにして壊すのか。
数回のストロークをかけて
償還のラストシーンまでを、彼らは壮大な線で描きだす。
圧倒的な強度と人間性を持った映画が、光を獲得する。
素晴らしい人間性を吹き込んだ印象的な肖像画。
ダルデンヌ兄弟は動きと音を精査することで、
精神的な密度を上げる。
とてつもない強度を持った映画だ。
観る者を魅了する。
この物語の主題を悲劇的・現実的な社会問題として解決するのではなく、真の人間ドラマとして存在させるからだ。
アメッドは大人になろうと努力しているけれども、
実際は人生を模索している10代前半の少年に過ぎない。
過激な信念と現実の間に挟まれた少年の肖像に、私たちは動揺する。『その手に触れるまで』には新たな力が宿っている。
ダルデンヌ兄弟は更なる境地にたどり着いた。
思春期のミステリーは、殺人計画のサスペンスに重なる。
彼を狂気から救い出すのは誰だろうか?
母親、先生、彼に好意を寄せる農場主の娘?
結末にはわずかな希望が待っている。
農場でアメッドを導く少女は、この少年の南京錠が掛かった要塞を開くかのようだ。ダルデンヌ兄弟の映画において、
“慈悲”とはまるでスポーツだ。
ダルデンヌ兄弟は、常に弱者の味方だ。
コメント
淡々と、静かに語られる
「いま欧州で起きていること」。
少年の瞳が最後には
光を見ることを願わずにはいられなくなる。
ブレイディみかこ(ライター
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」)
語り合えばきっと互いに分かり合えるというのは幻想である。
分かり合えないという現実から目を離さない
激烈な映画である。
その現実を前に立ち止まるのか、
思考を始めるのか。
観客に託されるものは大きい。
長塚圭史(劇作家/演出家/俳優)
ワンショットごとに生の只中へと放り込まれる。
あまりにささやかな奇跡が、
全ショットを満たす。
その手腕を
今はまだ「魔術的」としか形容しようがない。
少年のまったく信用ならない、
だからこそ最も信用できる改心の瞬間。
私たちがダルデンヌ兄弟の偉大さを
真に知るのは、「現代社会」から遠く隔たった
未来の話だろう。
その不幸と、彼らの新作に
同時代で立ち会う幸福はどちらが大きいだろう。
それがわかる日まで、
繰り返し彼らの映画を見るほかはない。
濱口竜介(映画監督)
ラスト全面肯定!
あのまなざしの優しさはどこからくるのか。
ダルデンヌ兄弟、
あなたたちが神様だったら良かったのに。
樋口毅宏(作家)
世界中の大人たち、それぞれの正しさや信じる道ってどう見つけてきたんだろう。
子を持つ親として、伝えていかなければならないことへのヒントを得た気がします。
青柳文子(モデル/女優)
思い通りにならないとき、人は人のせいにする。
人のせいにすればするほど、
思い通りにはならなくなる。
戻る道を見失った先にある、
わずかな光源を抱きとめた。
武田砂鉄(ライター)
過激主義に「洗脳」されたアメッド。
私がシリアやイラクで取材した
元IS戦闘員の少年らと重なる。
テロや戦争に利用される子供たちと、
どう向き合うのか。
この物語をフィクションと見るべきではない。
玉本英子(ジャーナリスト*アジアプレス)
(敬称略/順不同)