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イントロダクション

リリー・フランキー、15年ぶりの単独主演作で盲目の貝類学者に!個性派豪華キャストが紡ぎだす、稀有な映像詩世界。

イラストレーター、作家、ミュージシャン、エッセイスト…数々の顔を持ち、俳優として『そして父になる』『凶悪』で各映画賞を総ナメにしたリリー・フランキーが『盲獣vs一寸法師』(01)以来の単独主演作として挑んだ『シェル・コレクター』。本作では、孤独を愛し、妻子と離れて暮らす盲目の貝類学者という難役を演じた。島へ流れ着き、学者の運命を翻弄する女、いづみを演じるのは『ヴァイブレータ』『キャタピラー』など、日本映画界に不可欠な女優、寺島しのぶ。学者の息子で父親との関係に葛藤し、複雑な感情を内包する光役に、『ぼくたちの家族』『紙の月』により受賞が続く池松壮亮、島の有力者の娘でいづみと同じ奇病に冒された少女・嶌子には『寄生獣』『残穢』と話題作の公開が相次ぎ進化を続ける若手実力派女優、橋本愛。また、ジャームッシュ作品のプロデューサーとして知られるジム・スタークが出演しているのも、映画ファンには見逃せない。現代日本映画界に奇跡的に生み落とされた稀有な映像世界を個性派豪華キャストたちが紡ぎだす!

貝が魅せる螺旋の美しさ、沖縄の海と空の雄大さ……偉大な自然の前で、ちっぽけな人間はどう生きていくのか。

貝の美しさと謎に魅了され、その世界で名を成した盲目の貝類学者は、沖縄の離島で厭世的生活を送っていた。しかし、島に流れ着いたいづみの奇病を偶然にもイモガイの毒で治してしまい、それを知った人々が奇跡的な貝による治療を求めて次々と島に押し寄せる。いづみと同じ謎の奇病を患った少女・嶌子の治療を望む者、奇跡を起こした父の噂を聞きつけやってくる疎遠だった息子・光……。人との関わりを避け続けてきた学者の静かだった生活は一変する。
イモガイの毒は果たして奇跡的な薬なのか、それとも毒に過ぎないのか。蔓延する奇病は、自然が人間に与えた警鐘なのか。そんな疑問の中、孤島近くの火山は静かに活発化していく……。
全編に渡って映し出される沖縄・渡嘉敷島の目を見張るほどに美しい海、海中の生物たち。様々な形で螺旋を描く官能的な貝の数々。美しい自然の姿に圧倒されるとともに、イモガイの毒、奇病、火山など、自然が発する悲痛な叫びも映し出される。偉大な自然のなかで、如何にして小さな人間は生きるのか、その術を見つけ出そうともがく様が紡がれる。

アメリカ文学界の寵児・アンソニー・ドーア初映画化作品。誰もが未体験の艶麗劇薬ファンタジーに日米の才能が結集!

原作はデビュー作である同名小説でO・ヘンリー賞を受賞したアンソニー・ドーアの「シェル・コレクター/貝を集める人」。最新作「All the Light We Cannot See」が2015年度のピューリッツァー賞フィクション部門を受賞するなど、全米で注目されているアメリカ文学界の寵児である。
メガホンを執ったのはデビュー作『美代子阿佐ヶ谷気分』がロッテルダム国際映画祭コンペティション部門「VPROタイガー・アワード」に出品され、各国の映画祭で絶賛された坪田義史。原作に惚れ込んだ坪田監督が、設定を大胆に沖縄のとある離島に置き換え新たな命を与えた。
プロデューサーは『スモーク』(95/ウェイン・ワン監督)『FLIRT/フラート』(97/ハル・ハートレイ監督)を手掛けた黒岩久美と西島秀俊主演『CUT』(11/アミール・ナデリ監督)のエリック・ニアリ。原作と撮影、日米を繋ぐ架け橋となった。
複数種類のカメラを駆使し、偉大なる自然を見事な映像で捉えたのは、『岸辺の旅』の名手・芦澤明子。更に、ブラザーズ・クエイに師事し、世界をまたにかけて活躍する映像作家・牧野貴がイメージ映像を手がけ、作品の映像世界に深みを与えている。静謐な物語の映画音楽を手掛けたのは独特の世界観を誇るジャズ・ファンク・バンド“メデスキ,マーティン&ウッド”の天才ドラマー、ビリー・マーティン。そして、日本・アメリカに拠点を置き、ボーダーレスに活動している画家・下條ユリが、劇中でいづみが描く印象的な絵画を担当している。
各分野の最高峰の才能が集い、五感に訴えかける、これまでにない映像ファンタジーが誕生した。