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『新世紀ロマンティクス』公式サイト

月9日(金)より
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館
ほかにてロードショー!

第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品
第69回バリャドリッド国際映画祭グリーンスパイク賞 第48回サンパウロ国際映画祭最優秀国際映画賞第32回上海映画批評家協会賞最優秀映画製作者 IndieWire批評家選出2025年公開予定作品1位
2024 SIGHT AND SOUND 年間映画トップ10

ミレニアムの幕開けから、怒涛の変貌を遂げた現在へ。
劇的な変化を遂げる時代の中、繰り返される出会いと別れ。
時間は戻らない。だから、前へと進む。

新たな世紀を迎え、漠然とした未来への期待に溢れていた2001年。三峡ダム建設により建物が解体され、長江で100万を超える住民たちが移住した2006年。目覚ましい経済発展を遂げ、地方都市も都会化したコロナ禍の2022年……。チャオは山西省・大同(ダートン)を出て戻らぬ恋人ビンを探して奉節(フォンジエ)を訪ね、ビンは仕事を求めて奉節からマカオに隣接する経済特区・珠海(チューハイ)を訪れる。時は流れ、ふたりはまた大同へ――。恋人たちの関係と比例するように、街は変化していく。21世紀を22年かけて旅するチャオはどこにたどり着くのか――。
仕事もなく、道路は舗装されておらず、北京との格差にあえいでいた街が、22年の時を経て、ビルが立ち並び、グローバル化され、若者たちは世界の都市と変わらぬ娯楽を享受するようになる。二つ折りの携帯電話はスマートフォンに、SF世界だったAIロボットはスーパーマーケットで接客をし、孤独な女性の話し相手に……。壊れゆくもの、消えゆくもの、再び構築されるもの。変貌し続ける街に飲み込まれながら、出会いと別れを繰り返す。時間は戻らない。だから、前へと進む。

総製作期間22年!
世界が新作を熱望する名匠ジャ・ジャンクーが
ドキュメンタリーとフィクションを大胆に融合した、
これまでに観たことがない映画。

カンヌ、ベルリン、ヴェネチア、世界三大映画祭の常連にして、本作で中国人初の6度目のカンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品を果たした名匠ジャ・ジャンクー。初期の傑作『青の稲妻』『長江哀歌』やドキュメンタリーを含む2001年から撮り溜めてきた映像素材を使用し、総製作期間は22年に及ぶ。「斬新。過去の作品のすべては『新世紀ロマンティクス』のためにあった」とVariety誌は評する。実際の24歳・29歳・45歳の主人公たちの姿と、「百年に一度」と言われる、21世紀初頭から現在までの中国の変化を、フィクションとノンフィクションの垣根を超えて切り取ったリアリティ溢れる映像の力強さは、観る者の心を揺さぶる。映画内で人物も街も実際に変化していく、類い稀な、これまでにない傑作が誕生した。
主人公チャオを演じるのは監督の妻でもあるチャオ・タオ。本作で長編ドラマは8作目のタッグだ。ジョン・カサヴェテスとジーナ・ローランズ、吉田喜重と岡田茉莉子、ロベルト・ロッセリーニとイングリッド・バーグマンのように、妻である女優を主演に映画を撮り続けるジャ・ジャンクーの期待に応える熱演が光る。ビンを演じるのは『青の稲妻』『長江哀歌』でも恋人役だったリー・チュウビン。2作で恋人を演じたふたりがそれぞれの作品の役名で交差する世界線に映画ファンの胸が熱くなる。音楽の使い方に定評のあるジャ監督の力量は本作でも健在。まるでジャンルレスなDJのプレイのように、時代時代を象徴し、チャオの気持ちを代弁する音楽がシームレスに流れる。また、ジャ・ジャンクーの盟友ユー・リクウァイと近作を手掛けているエリック・ゴーティエが撮影を担当。ここにも新旧の奇跡のコラボレーションが生まれた。映画音楽はこれまでのジャ作品とタッグを組んできたリン・チャンが手掛けている。 かつての時間を閉じ込めた映像から、現代へ――時代の流れに翻弄され続けた主人公が出すひとつの結論が刻み込まれた珠玉のラストシーン。その強度に誰もが圧倒される。

STORY

記憶の、モンタージュ

2001年
北京から西へ約260kmほどに位置する中国北部の街、大同(ダートン)。チャオはキャンペーンガールやモデルをしている。恋人は彼女のマネージャーを務めるビン。中国のWTO加盟や北京オリンピック開催が決定するなど、漠然とした期待で中国は盛り上がっているが、大同の炭鉱産業は傾き、失職者だらけだった。この街で、小さな仕事をこなしながらふたりは青春を謳歌していた。ある日、ビンは一旗揚げるために大同を去る。
「落ち着いたら連絡する」
SMSだけ残して消えるビン。

2006年
チャオはビンを探して、約1,500km、15時間をかけて、三峡ダム建設により水底に沈む運命にある、2000年の歴史を持つ古都、長江・奉節(フォンジエ)を訪れる。雄大な長江の景色の中、移住する人、建物を解体する人々でごった返す街。電話もメッセージも繋がらず、チャオは地方テレビの尋ね人コーナーでビンの行方を捜し、なんとかふたりは再会する。ビンはダム建設に関わり、別の女の影が見えていた。
「私たち……もう終わったの」
宙に浮いていた想いにチャオは別れを告げる。

2022年
コロナ禍、身体を壊したようで杖をつき、足を引きながら歩くビンはマカオに隣接する経済特区、珠海(チューハイ)を訪れ、奉節で不動産や建築業で知り合ったパンを訪ねるが、彼らはSNSインフルエンサーのマネージメント業をしていた。すっかり仕事も様変わりしていた。居場所を見つけられないビン。
潮の流れはふたりを大同に連れ戻す。チャオは大同のスーパーのレジ係をしていた。そこへ客として訪れたビンはチャオと偶然に再会する。

監督・脚本:ジャ・ジャンクー 

Director and Script:Jia Zhangke 賈樟柯

1970年5月24日生まれ、中国山西省・汾陽(フェンヤン)出身。18歳の時に山西省の省都・太原(タイユェン)の芸術大学に入り、油絵を専攻しながら、小説を執筆し始める。この頃、『黄色い大地』(84/チェン・カイコー監督)を観て映画に興味を持ち、93年に北京電影学院文学系(文学部)に入学。在学中の95年にインディペンデント映画製作グループを組織し、55分のビデオ作品「小山の帰郷」を監督、香港インディペンデント短編映画賞金賞を受賞。この時、グランプリを受賞したのがユー・リクウァイの「ネオンの女神たち」。この出会いを通じて、『一瞬の夢』以降、ほぼすべての作品の撮影をユー・リクウァイが手掛けることとなる。97年に北京電影学院の卒業制作として、初長編映画『一瞬の夢』を監督、98年ベルリン国際映画祭フォーラム部門でワールドプレミア上映され、ヴォルフガング・シュタウテ賞(最優秀新人監督賞)を受賞したほか、プサン国際映画祭、バンクーバー国際映画祭、ナント三大陸映画祭でグランプリを獲得、国際的に大きな注目を集めた。2006年、三峡ダム建設により水没する古都・奉節(フォンジェ)を舞台にした『長江哀歌』がヴェネチア国際映画祭コンペティション部門でサプライズ上映され、金獅子賞(グランプリ)を獲得。13年、『罪の手ざわり』がカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞。
15年、カンヌ国際映画祭でフランス監督協会が主催する「金の馬車賞」を中国人監督として初めて受賞。17年、平遥国際映画祭を創設。18年10月、福岡アジア文化賞大賞を受賞。18~23年は全国人民代表大会代表(国会議員)を務めた。現在、中国映画監督協会の代表。名実ともに、現代中国を代表する映画監督である。

STAFF

撮影:ユー・リクウァイ

Directors of Photography:Yu Li-wai 余力为

1966年8月12日、香港生まれ。ベルギー国立高等舞台芸術学院(INSAS)で映画撮影を専攻。ジャ・ジャンクー監督の長編デビュー作『一瞬の夢』(98)に撮影監督として参加して以来、『プラットホーム』(00)、『青の稲妻』(02)、『世界』(04)、『長江哀歌』(06)、『四川のうた』(08)、『罪の手ざわり』(13)、『山河ノスタルジア』(15)といった作品でタッグを組んでいる。本作ではプロデューサーにも名を連ねている。ジャ監督作品以外では、数多くのアン・ホイ監督作品や、『パリ、ただよう花』(11/ロウ・イエ監督)などを手掛けている。
監督としても、長編デビュー作『天上の恋歌』(99)が、新人ながらカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出、08年には主演にオダギリ ジョーを迎え、全編ブラジルロケを敢行した『PLASTIC CITY プラスティック・シティ』がヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に選出されるなど、高く評価されている。

撮影:エリック・ゴーティエ

Directors of Photography:Eric GAUTIER

1961年4月2日生まれ、フランス出身。『モーターサイクル・ダイアリーズ』(03/ウォルター・サレス監督)で英国アカデミー賞ノミネート、インディペンデント・スピリット賞受賞、『クリーン』(04/オリヴィエ・アサイヤス監督)と併せてカンヌ国際映画祭技術賞受賞など、高い評価を得る。『愛する者よ、列車に乗れ』(98/パトリス・シェロー監督)でセザール賞撮影賞を、『イントゥ・ザ・ワイルド』(07/ショーン・ペン監督)でリュミエール賞を受賞している。そのほかの作品に『ポーラX』(99/レオス・カラックス監督)、『クリスマス・ストーリー』(08/アルノー・デプレシャン監督)、『風にそよぐ草』(09/アラン・レネ監督)、『ウッドストックがやってくる!』(09/アン・リー監督)、『オン・ザ・ロード』(12/ウォルター・サレス監督)、『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』(14/オリヴィエ・ダアン監督)、『喜望峰の風に乗せて』(17/ジェームズ・マーシュ監督)、『真実』(19/是枝裕和監督)などワールドワイドに活躍している。

音楽:リン・チャン

Original Music:LIM Giong 林強

1964年6月7日生まれ、台湾出身。DJ、歌手、作詞作曲家、音楽プロデューサー、俳優など多方面で活躍。これまで数々の作品でジャ・ジャンク―監督とタッグを組んでおり、『罪の手ざわり』(13)では、第50回金馬奨最優秀音楽賞を受賞。2007年には、『賈樟柯電影音樂作品集』をリリースした。また、ホウ・シャオシェン監督からの信頼も厚く、役者として『戯夢人生』(93)、『好男好女』(95)などに出演。同監督『黒衣の刺客』(15)では、カンヌ国際映画祭最優秀映画サントラ賞に輝いている。『ミレニアム・マンボ』(01)、『一年之初』(06/チャン・ヨウチェ監督)、「翡翠之城」(16/チャオ・ダーイン監督)、『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』(18/ビー・ガン監督)で金馬奨最優秀音楽賞を受賞。そのほか『台北暮色』(17/ホアン・シー監督)などがある。

CAST

チャオ:チャオ・タオ

ZHAO Tao 趙濤

1977年1月28日生まれ、山西省・太原出身。北京舞踏学院の民族舞踊科を卒業。ジャ・ジャンクーによって『プラットホーム』(00)の主演に抜擢され、女優デビュー。その後、ジャ・ジャンクー監督のミューズとしてほぼ全作品に主演。『山河ノスタルジア』(15)で第33回マイアミ国際映画祭のコンペティション部門と審査員賞の2部門でベスト・パフォーマンス賞をW受賞。『帰れない二人』(18)で第54回シカゴ国際映画祭、第12回アジア太平洋スクリーン・アワード、第25回ミンスク国際映画祭、第10回華語十佳頒獎典禮で主演女優賞を獲得。ジャ・ジャンクー監督のドキュメンタリー作品「無用」(07)と「海が青くなるまで泳ぐ」(20)ではプロデューサーも務めた。2011年にはイタリア映画『ある海辺の詩人─小さなヴェニスで─』(アンドレア・セグレ監督)に主演し、イタリアのアカデミー賞に相当するダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞主演女優賞を受賞。その他の出演作品にアイザック・ジュリアン監督の“Better Life”(10)等がある。
個人としては、昨年の第49回トロント国際映画祭でスペシャル・トリビュート賞を受賞。

ビン:リー・チュウビン

LI Zhubin 李竺斌

ライン・プロデューサー、俳優。2001年にスタッフとしてジャ・ジャンクー監督作品に初参加。『青の稲妻』(02)のヒロインの恋人チャオサン役で俳優としてデビューした。以降、『長江哀歌』『罪の手ざわり』『山河ノスタルジア』に出演しており、長い付き合いのある同監督からは親しみを込めて「ビン兄さん」と呼ばれている。若手の頃は「大同のレスリー・チャン」の異名を取った。

チョウ:チョウ・ヨウ

ZHOU You 周游

1991年5月23日生まれ。江蘇省南京市出身。モデルとしてキャリアをスタートする前は、ウェイターや販売員、荷物運びなど様々な仕事をしていた。ジャ・ジャンクー監督が設立した第4回平遥国際映画祭にて、主演作‟Striding Into The Wind”(20/ウェイ・シュージュン監督)で主演男優賞を受賞。「バウンド・イン・ヘブン」(24/フオ・シン監督)が第49回トロント国際映画祭センターピース部門、“Girls on Wire”(25/ヴィヴィアン・チュイ監督)が第75回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に選出されたことで、2024-25年で世界の主要映画祭に出演作品が最も多くノミネートされた中国語圏の俳優となり、「2025年アート映画界最強俳優」の異名を持つ。TVドラマでの活躍もめざましく、「バビロンの恋人」(21)や去年OAされた人気TVドラマ「日光之城」に主演している。また、パリ ファッションウィークにバレンシアガからの招待で出席するなど、ハイブランドからのラブコールを得るファッショニスタとしても注目を集める。第77回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門最優秀作品賞を受賞した『ブラックドッグ』(24/グァン・フー監督)が本年初秋公開予定。

パン:パン・ジアンリン

PAN Jianlin 潘剑林

1969年生まれ、甘粛省臨洮県出身。映画監督。経済法を学んだ後、航空業界や不動産業、運輸業で働き、2000年に独学で映画製作を学び始める。02年に監督した初のドキュメンタリー作品‟The Bride”が、第8回香港インディペンデント・ショートフィルム&ビデオ・アワードのASIAN NEW FORCE部門で批評家賞を受賞。長編デビュー作である‟Good Morning, Beijing”(03)は3回バンクーバー国際映画祭正式出品、‟Feast of Villains”(08)は第61回ロカルノ映画祭でスペシャル・メンションを受賞している。ジャ・ジャンクー監督作品には、『長江哀歌』(06)につづき、同じパン役で2度目の出演。

CAST
チャオ・タオ リー・チュウビン
パン・ジアンリン ラン・チョウ チョウ・ヨウ レン・クー マオ・タオ

STAFF
監督:ジャ・ジャンクー 脚本:ジャ・ジャンクー、ワン・ジアファン
プロデューサー:キャスパー・リャン・ジアヤン 市山尚三
共同製作:チャン・ドン、ユー・リクウァイ、ワン・リー、スティーブン・シヤン
アソシエ―トプロデューサー:ジョシー・チョウ、ジアン・ユーシア、リウ・ツェ
撮影:ユー・リクウァイ、エリック・ゴーティエ 録音:チャン・ヤン
美術:ヨウ・シューシェン、リュウ・チァン、リュウ・ウェイシン、リャン・チントン
音楽:リン・チャン 編集:ヤン・チャオ、リン・シュウドン、マチュー・ラクロー
エグゼクティブ・プロデューサー:ジャ・ジャンクー、タン・ヤン、ドン・ピン、チュウ・ウェイチエ
製作:北京西河星汇影业有限公司、陌陌影业有限公司、北京欢十喜文化传媒有限公司、福建泉州市无限自在文化传媒有限公司 協力:MK2 FILMS、AD VITAM、ビターズ・エンド

原題:风流一代
英題:Caught by the Tides
2024 /中国/中国語/1:1.85/111分
字幕翻訳:市山尚三
配給:ビターズ・エンド

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