空想のモンスターを生み出すゲームデザイナーのフリアン。VR 空間で獣のデザインを立体的に形作っていく。
ある日、自宅で作業をしていると助けを求める子どもの声が。アパートの向かいの部屋から炎があがっている。玄関
のドアが開かずパニックになっているクリスチャン。フリアンは必死にドアを蹴破り救い出す。
夜中、息が苦しくなり目を覚ますフリアン。病院にたどり着くと気を失ってしまう。しかし、心電図も検査の数値も正常だ。強いストレスや恐怖に対する脳の自己防衛によるパニック発作だと診断される。
フリアンは同僚サンドラの誕生日パーティーで美術史を学ぶディアナに出会う。聡明でどこかミステリアスなディアナ。彼女の父は2年前に脳卒中を患い、いまはふたり暮らしで、ほぼひとりで介護をしているという。映画やゲーム、アートについて語りあい、次第に惹かれ合っていくふたり。
しかし、フリアンはある秘密を抱えていた。それは火事から子どもを救ったあの日から、まるで肺に吸い込んでしまった煙のように彼の中で静かに渦巻いている“ある感情”。やがてそれが思いもよらぬマンティコア [怪物] を作り出してしまう…。