オタール・イオセリアーニ映画祭 〜ジョージア、そしてパリ〜

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introduction イントロダクション

人生の達人、イオセリアーニの
素敵な世界へようこそ。

ジョージア(旧ソ連グルジア共和国)に生まれ、映画製作を行うも上映禁止など制限を受け、故郷を後に新天地パリヘ。カンヌ、ヴェネチア、ベルリンなど世界各国の映画祭で数々の賞を受賞し、ゆるぎない評価を得ているオタール・イオセリアーニ。『月曜日に乾杯!』『素敵な歌と舟はゆく』など、これまで公開された作品群に加え、パリに拠点を移してからの初長編『月の寵児たち』、アフリカのセネガルで撮影された『そして光ありき』、現在の世界情勢にも通じる、ジョージアの歴史や文化を描いた4時間のドキュメンタリー大作『唯一、ゲオルギア』や、ジョージア時代の短編、トスカーナやバスク地方で撮影されたドキュメンタリーなど初公開となる作品を一挙上映! 反骨精神をスパイスにセンスの良いユーモアでノンシャランと笑い飛ばすイオセリアーニの素敵な世界で、ちょっとした幸福を体感あれ!

director profile 監督プロフィール

オタール・イオセリアーニの写真 オタール・イオセリアーニの写真

1934年2月2日、旧ソビエト連邦グルジア共和国(現ジョージア)のトビリシに生まれる。44年、トビリシ音楽院に入り、ピアノ、作曲、指揮を、53年から55年にかけてモスクワ大学で、数学、工学を学ぶ。その後、56年から61年まで、モスクワのソ連映画学院の監督科に在籍。58年、短編『水彩画』を実習作として監督。この作品は後にTV放映された。卒業後は編集技師として働き、いくつかのニュース映画を監督する。

62年に中編『四月』を監督するが、「抽象的、形式主義的」という理由で、上映を禁止された。66年、ワインの生産をめぐり工場側と対立する若い醸造技師の奮闘を描いた長編第1作『落葉』を発表。公開禁止となるが、2年後の68年のカンヌ国際映画祭に出品。初めて西側で紹介され、国際批評家連盟賞とジョルジュ・サドゥール賞を受賞。イオセリアーニの名前は一躍世界に知られることとなる。

70年に『歌うつぐみがおりました』、76年に『田園詩』を発表後、79年に活動の拠点をフランス・パリに移す。短編や中編ドキュメンタリーをいくつか制作した後、84年に長編第4作『月の寵児たち』を、89年にはセネガルで撮影した長編第5作『そして光ありき』を発表。これら2作品はヴェネチア国際映画祭審査員大賞を受賞する。92年制作の『蝶採り』で、ヴェネチア国際映画祭PASINETTI(新聞記者協会)賞を受賞、93年には、ジョージアの歴史・文化を映像資料を用いて紹介した三部構成のTV作品『唯一、ゲオルギア』を発表。96年制作の『群盗、第七章』では、ヴェネチア国際映画祭審査員特別大賞を三度受賞する快挙を遂げる。

99年、カンヌ国際映画祭に特別招待作品として出品された長編第8作『素敵な歌と舟はゆく』は、ルイ・デリック賞、ヨーロッパ映画アカデミー選出による年間最優秀批評家連盟賞を受賞し、ロングラン・ヒットを記録。2002年の長編第9作『月曜日に乾杯!』はベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)と国際批評家連盟賞をダブル受賞し、世界の名匠としての地位をゆるぎないものにし、日本でもスマッシュヒットを記録した。06年、失脚した大臣が人間らしい生活を取り戻すまでを描く『ここに幸あり』を、10年、初めて自身の実人生を重ねた半自伝的作品『汽車はふたたび故郷へ』を、15年、集大成ともいえるシニカルな人間賛歌『皆さま、ごきげんよう』を発表。混沌とする社会の不条理を、反骨精神たっぷりにセンスの良いユーモアで、ノンシャランと笑い飛ばす。円熟味を増しながらも自由で独創性あふれる作品作りで、世界中の映画ファンを魅了し続けている。

film works 上映作品

★全21作品 デジタル・リマスター

《初公開の長編2作品と3部作ドキュメンタリー》

《ジョージア時代の短編や貴重な中編作品》

《長編作品》

comment 海外評・コメント

  • 人生は“予期していなかったプレゼント”さ。
    生きていくことは小さなあそびなんだ。

    オタール・イオセリアーニ
  • 『月の寵児たち』
    歴史、生活の中で繰り返される愛おしさと繰り返してしまう愚かさの同居に、 悲しさがコメディになる事を思い出していました。場所や音、モノ、動物達がそれを関係ないみたいに側で見ている事で、その哀愁漂う人間臭さが強調されていたのが印象的でした。

    イラストレーター たなかみさき
  • 『そして光ありき』
    舞台がアフリカ、ディオラ族の暮らす森に変わってもイオセリアーニ節は全く変わらず!むしろこの作品があっての後の傑作群なのではと思う。
    セリフが無くとも伝わってくる強烈なメッセージ!

    ミュージシャン 川辺ヒロシ(TOKYO No.1 SOUL SET)
  • 『唯一、ゲオルギア』
    時空を超えて、ジョージアの歴史、文化、人々の想いが交錯する形で伝わってきた。
    ジョージアの全てを知る上でとても意義があり、ソ連とはなんだったかということ、ウクライナ問題の根源を知る上でも大変貴重な映画だ。

    慶應義塾大学 総合政策学部教授 廣瀬陽子
  • 『皆さま、ごきげんよう』
    こんなに世の中が不条理で人生が辛く思える時、
    同じ世界が美しさも希望も含んでいることを
    チャーミングに教えてくれるイオセリアーニ監督にただ感謝したい。

    コラムニスト 山崎まどか
  • 『ここに幸あり』
    よしっ、決めた!わたしもここの住人になる!

    ミュージシャン 矢野顕子
  • 『汽車はふたたび故郷へ』
    時間がゆっくりと心持よく流れてゆく。
    こんな映画は今日ではめったに見られるものではない。
    イオセリアーニは、いい監督だ。

    映画監督 山田洋次
  • ノンシャランとしたユーモアは、観客を“優雅なサーカス”へと連れてゆく。

    ビレッジ・ボイス
  • イオセリアーニの映画には楽しさがあふれている。
    今すぐ映画館へ行って自分の目で確かめろ!

    リベラシオン
  • イオセリアーニの作品は、現代社会の寓話だ。
    まさに、ジャック・タチやチャップリンのよう!

    テレラマ
  • イオセリアーニの作品は、愉しさと同じ分だけメランコリーが感じられる。
    彼のノンシャランは、彼の真面目さの裏返しなのだ。

    レザンロック
  • イオセリアーニは現実に幻想を抱いていない。
    彼は自由を謳う歌い手である。

    ル・フィガロ
  • イオセリアーニがほんの軽くふれるだけで、
    これまで輝くことのなかった世界はいきいきと動き出す。

    テレラマ
  • 自分のインスピレーションに従っているだけなのに、
    あいかわらず不敵なイオセリアーニの戯作者精神は、
    かすかな革命の匂いを漂わせている。

    ポジティフ

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