──あなたは最近、『ウィンターズ・ボーン』などで社会的に権威ある人物を演じることが多かったですが、ポールは対照的に秩序に対し対抗的な人物ですね。
ポールは他のキャラクターと違うってこと?そういう見方こそ、僕が戦っている相手だね。ポールは自分の人生において新しい領域を何とか切り開こうとしている。この時代においてポールは存在しているだけで秩序破壊的なんだ。
──冒頭の車のシーンから、ルディとの間にすぐに生まれるふたりの親密な関係が感じ取れます。
撮影前にアランに会ったことはなかった。この撮影は別の映画が終わったばかりで、ちょっと休もうとしていたところだったので、すぐにこんなきつい役柄を演じるのにはためらいがあった。でも妻がこのシナリオを読んで、「あなた、これは是非やるべきよ」って言ったんだ。彼女は、僕が直前にやったのとは違う役柄を演じたがるのを知ってるからね。
アランとは何通かメールのやりとりをして、ふたりの間に流れる感情を理解しようとした。アランと演じることについて僕はなにも心配はしていなかった。彼は才能があるとずっと思っていたし、彼と仕事ができるのは楽しみだった。
撮影に入ってみると、アランは陽気そのもので、僕たちは仕事の仕方が似てるんじゃないかと思った。僕たちはあまり自分たちの役柄を深刻に受けすぎないようにした。誰だって彼のことはすぐ好きになる。だからポールになり切るには何も苦労はなかったんだ。
──監督のトラヴィス・ファインは監督になる前に、長く俳優としてキャリアを積んでいました。彼が俳優とのやりとりに長けているのは、俳優としての経験に関係があると思いますか。
それは答えるのが難しいな。ひどい監督になる俳優もいるからね。トラヴィスは良い監督だよ。自分を惹きつける素材に感情的につながって、コミットしている。彼は俳優たちが求めているものに敏感に反応する。いつ介入したらいいか、言いたいだけ言ったら、どこで引き下がったらいいかも知っている。一も二もなく、彼とはまた仕事がしたいね。
──このストーリーを演じるのを引き受けるのは勇気がいることではありませんでしたか? あなた方はこの映画のセンセーショナルな側面をどのように乗り越えたのでしょうか。
簡単に分かってもらえる映画ではないね。「時代もの、ゲイのお涙ちょうだいもの」と言う人もいた。過度なセンチメンタリズムを避ける方法は、真実しかないと思う。僕たちは安っぽいドラマになってしまう危険を知っていた。だからできるだけ誠実に振る舞って、それを避けるために最善の努力をしたんだ。