


30歳の自称売れっ子CMディレクター・砂田は、東京で日々仕事に明け暮れながらも、理解ある優しい夫もいて満ち足りた日々を送っている…ようにみえるが、口をひらけば悪態をつき、なにかあれば 毒づいてばかりで心は完全に荒みきっている。ある日、病気の祖母を見舞うため、砂田は自由で天真爛漫な秘密の友だち清浦と共に、大嫌いな故郷に帰ることに―。いつの間にか大人になってしまった全ての人たちへ 贈る、新たな日本映画の傑作が誕生した!

砂田を演じるのは、『海街diary』『天然コケッコー』 などで多くの映画ファンを魅了してきた夏帆。「今までで一番やりたい役に出会えた」と、これまでの明るく爽やかなキャラクターを封印。毒っ気溢れふてくされ顔の砂田に体当たりで挑み、新境地を拓いた。また、 『怪しい彼女』『サニー 永遠の仲間たち』『新聞記者』など、韓国と日本で大活躍中のシム・ウンギョンが砂田の友・清浦に扮し、愛嬌たっぷりに夏帆と息の合った演技を披露している。さらに、渡辺大知、黒田大輔、嶋田久作、ユースケ・サンタマリア、でんでん、南果歩など日本映画界を支える実力派が一堂に集結。また、撮影は『万引き家族』で 日本アカデミー賞最優秀撮影に輝いた近藤龍人、音楽はミュージシャンの松崎ナオが担当するなど、一流のスタッフが勢ぞろいした。

メガホンを執ったのは、いまCM界にて第一線で活躍する箱田優子。彼女の第一回監督作である本作 は、『嘘を愛する女』(18/中江和仁監督)、『ルームロンダリング』(18/片桐健滋監督)など 新進気鋭の若手映像作家を生み出すプロジェクト「 TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM」にて、2016年審査員特別賞に輝いた。 本作は海外映画祭でも快進撃が止まらず、香港、 上海、ドイツ、台北と各国で大盛況!第22回上海国際映画祭 アジア新人部門では最優秀監督賞&優秀作品賞に輝き、審査員を務めた中国の 実力派女優のタン・ジュオは「 大好きな作品!ぜひ自分を(箱田監督の)次の作品で使ってもらいたい!」と猛烈アピールするほどの絶賛ぶりだった。さらに第19回 ドイツ「ニッポン・コネクション」ニッポン・ヴィジョンズ審査員スペシャル・メンション受賞と、国境を越えて共感を呼び、注目を集めている。
ブルーアワーとは
一日の始まりと終わりのあいだに 一瞬だけおとずれて、空が青色に染まる静寂の時間。ちなみに日本では、夜明け前の 薄明かりの時を 「彼(か)は誰(たれ)時」、日が沈み夜になるまでを 「黄昏時(誰(た)そ彼(かれ)時)」とも呼ぶ。
砂田には、共感する部分がたくさんありました。人には普段絶対に言わないし、誰かに話したりはしない。でも、心にある寂しさだったり喪失感だったり。「あー分かる分かる!」って思いながら、脚本を読み進めました。時が流れていってしまうことへの寂しさってありますよね。止められない時間のなかで、自分も親やおばあちゃんも年を取る。そういうことを私も日々感じています。過去の自分はすごく自由だったな、何も考えずすごく伸びやかだったな、でも 今の自分ははたしてどうなんだろう・・・・・・?と思ったり。 でも過去には戻れないし時間は進んでいく。そんななかでどうしたらいいのか分からないという気持ちにすごく共感しました。毎日が濃密すぎて、12日間とはとても思えないくらい、目まぐるしい撮影の日々でしたが、キャスト・スタッフの皆さんが周りをちゃんと固めてくださったおかげで、安心して演じることができました。