ダーハイは山西省・烏金山(ウージンシャン)に暮らす炭鉱夫。彼は、村の共同所有だった炭鉱の利益が、同級生の実業家・ジャオによって独占され、村長はその口止めに賄賂をもらっているのではないかと疑い、大きな怒りを抱いている。
「お前を訴えてやる」とジャオに伝えたダーハイは、ジャオの手下たちによって暴行され、大けがを負う。街の広場で演じられていた古典演劇「水滸伝」の主人公、林冲(リン・チュウ)の「憤怒により、剣を抜き……」という言葉に自らの思いを重ねるダーハイ。帰宅したダーハイは猟銃を持って、役人たちのもとへと向かう……。
重慶に妻と子を残し出稼ぎのため村を出たチョウが、正月と母親の誕生祝いにあわせて帰省した。「三男が帰ってきた!」という村人の声とともにチョウが帰ってくると、チョウの妻と幼い息子は複雑な表情で彼を迎える。
「送金を受け取ったわ。13万人民元。最後のは山西からだった」
「武漢(ウーハン)で稼いで、山西から送ったんだ」
出稼ぎとはいえ、各地から大金を振り込んでくる夫を怪しむ妻は、そっと夫のデイパックを開き、銃の弾倉を見つけてしまう。さらにそれぞれ行き先の違う切符を発見した妻は、「広州に行くの? それとも宜昌? 南寧? この村にいたらいいじゃない」とつぶやく。彼女は夫が何の仕事をして大金を送ってくるのか、ただの出稼ぎではないことに気づいていた。翌日、身支度を済ませると、チョウは街へ向かう。
夜行バスで湖北省・宜昌(イーチャン)に到着した男、ヨウリャンがカフェへ向かうと、恋人のシャオユーが待っていた。二人はもう何年もの付き合いになるが、ヨウリャンには妻がいる。「奥さんをとるなら、私と別れて。お互いに考えて決めましょう」
話し終えて再び別れると、シャオユーは勤め先の風俗サウナに戻る。彼女はここで受付係をして働いていた。
ある日シャオユーが勤務を終えて、勤め先の未使用ルームで洗濯をしていると、二人の男が「マッサージしろ」と部屋に入ってくる。自分は娼婦ではない、と断るシャオユーに男たちは執拗に迫り……。
シャオユーの恋人、ヨウリャンが工場長を務める広東省の縫製工場で働く青年シャオホイは、勤務中に別部署のスタッフに怪我をさせてしまう。スタッフ分の給料をお前が払えと言われたシャオホイは逃げ出すように仕事を辞めてしまう。彼が向かったのは、東莞(トングァン)。より高給な仕事に就くために、香港や台湾からの客を相手にしたナイトクラブ「中華娯楽城」で働くことにしたのだ。この店でシャオホイは、東莞に向かう列車の中で偶然乗り合わせたしっかり者のホステス、リェンロンと出会う。彼女と休憩時間に話をしたり、休日一緒に出かけたりして親交を深めるうちに、リェンロンに恋をするシャオホイ。ついに彼女に思いを告げるが、彼女には誰にも告げていない秘密があった――。