南仏コート・ダジュール。
老年の俳優・ジャンが映画のリハーサルを続けている。彼は、うまく死を演じられないと悩んでいた。撮影が中断されることとなり、ジャンは旧友に会いに行くことにする。
大きな赤いグラジオラスの花束を持ったジャンがたどり着いたのは、かつて愛した女性・ジュリエットの住んでいた古い屋敷。中へ入ると、ジュリエットが美しい姿のまま、幻となって現れる。再会を喜び、彼は屋敷で寝泊まりを始めることに―。
ある日、ジャンは屋敷に忍び込んだ地元の子どもたちと出会う。彼らは屋敷を使って映画を撮影しようとしていた。ジャンに興味を持ち、カメラを向け始める子どもたち。「僕たちの映画に出てくれませんか?」。
ジャンは頑固な態度をとっていたが、次第に心を開きだす。やがて屋敷を貸すこと、映画に出演することを快諾したジャンは、「脚本を用意しなさい」と子どもたちに言う。子どもたちは秘密基地で脚本を作り上げ、いよいよ撮影がはじまる―。
子どもたちとの映画撮影で、ふたたび生きる歓びが沸き上がっていくジャン。そして幾度もジャンの前に現れるジュリエットの幻影と対峙しながら、同時に自らの過去と残された時間を見つめ出す。
映画作りが教えてくれたのは、死を想うこと、そして生きていく大きな歓び―