BITTERS END

ジャ・ジャンクー 賈樟柯

プロフィール

監督写真

1970年、中国山西省・汾陽(フェンヤン)に生まれる。18歳の時に山西省の省都・太原(タイユェン)の芸術大学に入り、 油絵を専攻。同時に小説執筆を始める。この頃、チェン・カイコー(陳凱歌)監督の『黄色い大地』を観て映画に関心を持ち、 93年に北京電影学院文学系(文学部)に入学。95年に仲間と共にインディペンデント映画製作グループを組織し、55分のビデオ作品 「小山の帰郷」を監督、香港インディペンデント短編映画賞金賞を受賞した。97年に北京電影学院を卒業し、その卒業制作として 16mmの長編劇映画『一瞬の夢』を監督。故郷の汾陽を舞台に、すべて素人を起用したこの作品は、「卒業制作」であるにもかかわらず 98年のベルリン国際映画祭フォーラム部門でワールドプレミア上映され、ヴォルフガング・シュタウテ賞(最優秀新人監督賞)を受賞。 そのほかプサン国際映画祭、バンクーバー国際映画祭、ナント三大陸映画祭で連続してグランプリを獲得、一躍国際的に大きな注目を集めた。 2000年、35mmで撮影した長編第2作『プラットホーム』は2000年ヴェネチア映画祭コンペティションに選ばれ最優秀アジア映画賞にあたる NETPAC賞を受賞。ナント、ブエノスアイレスの両映画祭ではグランプリに輝いた。01年には、山西省の地方都市・大同(ダートン)を舞台に 初めてデジタルビデオで撮影した短編ドキュメンタリー「In Public」を製作。02年にはこの大同を舞台に、監督第3作『青の稲妻』を発表。 出口のない青春を描いたこの映画はカンヌ国際映画祭コンペティションで上映された。この作品以降、すべての作品がカンヌ、 またはヴェネチア映画祭で上映されている。2004年、北京郊外に実在するテーマパークを舞台に若者たちの孤独を描いた長編第4作『世界』を発表、 ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され、トロント、ロッテルダム、バンクーバーなど世界中の映画祭で上映され好評を博した。 2006年にはダムの建設により伝統や文化、記憶や時間も水没してゆく運命にある古都・奉節(フォンジェ)を舞台に2人の男女の物語が綴られる 劇映画『長江哀歌』と、三峡地区でロケされたドキュメンタリー映画「東」を発表。両作品ともヴェネチア国際映画祭に選ばれ、『長江哀歌』は 最高賞にあたる金獅子賞(グランプリ)を獲得。日本でもロングランヒットを記録し、キネマ旬報ベスト・テン外国語映画第1位、 毎日映画コンクール外国映画ベストワン賞を受賞するなど高い評価を受けた。07年には中国のファッションをテーマにしたドキュメンタリー「無用」を発表、 ヴェネチア国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。2008年の『四川のうた』では、巨大国営工場「420工場」を舞台に、 ここで実際に働いていた労働者とプロの俳優を起用して420工場の思い出を語らせるというセミドキュメンタリーに挑戦。 個人の生活史に中国の激動の半世紀の歴史を重ねるという一大叙事詩を作り上げ、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された。 『青の稲妻』『四川のうた』(08)に続く、3度目のカンヌ国際映画祭コンペティション部門出品となった本作『罪の手ざわり』で脚本賞を受賞。

フィルムグラフィー

1997年
「小山の帰郷」(中編ビデオ作品)※映画祭上映

●香港インディペンデント短編映画ビデオ賞&金賞

1998年
『一瞬の夢』

●ベルリン国際映画祭 ヴォルフガング・シュタウテ賞(新人監督賞)、NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)
●ベルギー王立映画アカデミー ラージュ・ドール賞
●プサン国際映画祭 ニュー・カレント賞(最優秀作品賞)
●バンクーバー国際映画祭 ドラゴン&タイガー賞 ●ナント三大陸映画祭 グランプリ、主演女優賞

2000年
『プラットホーム』

●ヴェネチア国際映画祭 NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)
●ナント三大陸映画祭 グランプリ、ナント市賞(最優秀監督賞) ●フリブルク映画祭 国際批評家連盟賞
●ドン・キホーテ賞(国際シネクラブ連盟賞) ●シンガポール映画祭 ヤングシネマ賞
●ブエノスアイレス国際映画祭 グランプリ

2001年
「In Public」(短編ドキュメンタリー、オムニバス作品「三人三色」の一編)※映画祭上映

●マルセイユ国際ドキュメンタリー映画際 グランプリ

2002年
『青の稲妻』

●カンヌ国際映画祭 コンペティション部門 正式上映 ●シンガポール映画祭 国際批評家連盟賞特別賞

2004年
『世界』

●ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門正式上映
●ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア映画祭 グランプリ

2006年
『長江哀歌』

●ヴェネチア国際映画祭 金獅子賞グランプリ ●アジアン・フィルム・アワード 最優秀監督賞
●ロサンゼルス映画批評家協会賞 外国語作品賞 ●キネマ旬報ベストテン 外国映画第1位 監督賞
●毎日映画コンクール 外国映画第1位 ●朝日ベストテン映画祭 洋画第1位

「東」(長編ドキュメンタリー)※映画祭上映

●ヴェネチア国際映画祭 オリゾンティ部門 正式上映
●台湾ドキュメンタリー映画祭 最優秀アジア・ドキュメンタリー賞

「私たちの十年」(短編劇映画)※映画祭上映
2007年
「無用」(長編ドキュメンタリー)※映画祭上映

●ヴェネチア国際映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞

2008年
『四川のうた』

●カンヌ国際映画祭 コンペティション部門 正式上映

「河の上の愛情」(短編劇映画)※映画祭上映

●ヴェネチア国際映画祭 特別招待作品

2013年
『罪の手ざわり』

●カンヌ国際映画祭脚本賞
●トロント映画批評家協会賞 最優秀外国語映画賞
●フランス映画批評家協会賞 最優秀外国映画賞
●アブダビ映画祭最優秀作品賞
●台湾金馬奨最優秀音楽賞(リン・チャン)、最優秀編集賞