イエス・キリストを、奇蹟を起こす聖人としてではなく、一人の人間として描いたエルネスト・ルナンの著作「イエスの生涯」に着想を受け、複雑に揺れ動く心の極点として、少年の“暴行”を映していく『ジーザスの日々』。映画は、人間の突発的な狂気の恐ろしさ、誰もが一歩間違えれば落ち込むかもしれない心の闇を描き出す。そして、ラストでは、フレディが警察での尋問を飛び出し、自らのことを見つめ直す姿を捉え、贖いへの、そして人が人としてあることへの、わずかな希望を静かに照らし出していく。
ブリュノ・デュモン監督作品
『ユマニテ』
(原題“L’HUMANITE”)
ユーロスペースにて上映中