レビュー

※敬称略・順不同

  • 人を想うことのどうしようもなさと愛しさを、
    こんな不思議な方法で映画にすることができるなんて。
    へウォンの経験する夢は観る人の現実に浸み出して、
    忘れられなくなる。

    ―柴崎友香 作家(第151回 芥川賞を「春の庭」で受賞)

  • 水みたいに女の子が揺れている。
    それを追うだけで、こんなにスリリングな映画になるなんて

    ―山崎まどか コラムニスト

『ヘウォンの恋愛日記』『ソニはご機嫌ななめ』2作に寄せて

  • 映画のことで悩むとホン・サンス先輩の家へ相談に行くのだが、
    結局いつもヘウォンやソニと楽しくチャミスル飲み過ぎて
    何も覚えていない。
    と、いう夢をみた。

    ―吉田大八 映画監督(『紙の月』『桐島、部活やめるってよ』)

  • ふたつの映画を見ていて気づいた。
    わたしたちがいかに、人に対して厳しいまなざしを持つのが
    当たり前の社会に生きているか。
    でも、そんなわたしたちでも、ホン・サンスの映画を見ている間は、人をやさしく突き放す絶妙のバランスを備えたまなざしを、
    獲得できる。

    ―岡田利規 演劇作家、小説家、チェルフィッチュ主宰

  • 『女は怖くて、男はバカだ』ということは
    時代も国境も越えるみたいだ。
    そういや落語にもそういう噺はたくさんある。
    ホン・サンス監督による、男の業の肯定映画!!

    ―立川吉笑 落語家

  • 前衛的手法がとうとう消え、ドキュメンタリー映画のような
    シンプライズ/ミニマリズムに達した佳作二本。

    ――菊地成孔 音楽家、文筆家

海外評

  • シンプルな語りと見せかけのナイーヴさ。ホン・サンス監督の最近のどの映画よりも、はるかに軽やかな『ヘウォンの恋愛日記』をただただ楽しんだ。

    ―――ハリウッド・レポーター

  • 『ヘウォンの恋愛日記』は、いつもとちょっと違う女性目線のホン・サンス作品。流れは軽やかで、見終わった後に余韻が残る。いつも図書館で本を読んでいる間に眠り込んでしまうヘウォンの漠然とした寂しさが、オーラのように彼女を包み込む。

    ―――マンメイド・マグ

  • お互いを好きだと思っていたふたりが、未来にどんな希望もないと分かってしまった時の恋愛の残り香を描く『ヘウォンの恋愛日記』は、ひとりの女性の孤独と、恋愛が終わった後に訪れる希望の映画だ。

    ―――マンメイド・マグ

  • 彼女がまどろむと、現実と夢、リアルと潜在が混じり合う。彼女は夢を生きているのか、人生の夢を見ているのか。彼女が経験するのは、甘美で、しかも容赦のない夢なのだ。

    ―――ル・モンド(ジャン=フランソワ・ロージェ)

  • ホン・サンスによる、いつもの愛についてのテーマを巡る新たな変奏。いつも通りの、しかし常に新しい、そして完璧に近い音楽。

    ―――レザンロキュプティブル・コム

  • この映画のヒロインが、ホン・サンスの最も心揺さぶる登場人物であるとしたら、それは彼女が私たちの良く知っているような人物であると同時に、宇宙から来た人物でもあるからだ。「若く、孤独で、自由で、軽く、ただ一人、軌道もなく漂っている」。

    ―――リベラシオン

  • 都会の何気ない事物から世界を創り上げる。ごくありふれた場所が、驚くべき瞬間を記録し、感情の地図に描きこまれる。ホン・サンスは現代映画作家の中で最もプルースト的な存在である。

    ―――カイエ・デュ・シネマ

  • 素早いタッチで描かれた、とある女性の肖像画。メランコリックで心を震わせる瞬間がそこには描きとめられている。 

    ―――プレミア

  • この映画を愛さずにはいられないし、感動しないでいることは難しい。最も美しい愛は実現しなかった愛なのだ。しかし地球は回り続けるし、恐れを知らない若いヘウォンには、まだまだ未来が開けている。

    ―――レザンロック・ラブ