世界中で愛され続ける傑作が
ニュープリントでスクリーンに甦る
1996年3月13日、54歳という若さでその生涯を閉じた世界的巨匠クシシュトフ・キェシロフスキ。ナンニ・モレッティ、エドワード・ヤン、マイケル・ウィンターボトムといった名だたる映画監督たちの尊敬と賞賛を集め、遺稿「地獄」を映画化した『美しき運命の傷痕』が公開されるなど、今なお時代や世代を越えて影響を与え、支持され続けています。
その早すぎる死から10年がたった今年、彼の最高傑作とも言うべき『ふたりのベロニカ』がニュープリントでスクリーンに甦ります。1991年、『ふたりのベロニカ』はカンヌ国際映画祭で上映されました。「イレーヌなしではこの映画は作り得なかった」とキェシロフスキが絶賛。ついにめぐり会ったミューズ、イレーヌ・ジャコブの瑞々しい魅力は世界中を虜にしました。オレンジがかった落ち着いた色調の映像、ポエティックに叙情高める音楽──その幻想的で美しい物語は、15年の歳月を経た今も色褪せることなく輝きを放ち続けています。