想い出を綴るセピアの映像
監督は、キルギス出身のアクタン・アブディカリコフ。ベシュケンピール同様、養子である彼は、少年時代の体験や想い出を綴った本作で、長編デビューを飾り、ロカルノや東京をはじめ、各国の映画祭で数々の賞を受賞する快挙を成し遂げた。
主人公ベシュケンピールを演じるのは、監督の実の息子ミルラン。子供とも大人とも呼べない時期を迎えた少年の複雑な心理や感情を、見事に表現している。また、その他のキャストには、素人を起用。彼らの日常会話を取り入れることで、自然な演技を引き出すことに成功している。
単なるモノクロとは言いがたい映像は、まるで古い写真のように、時にセピア色に、時に漆黒や緑色にと、微妙に色を変える。そして、喜びや苦しみといった感情の"染み"の部分だけが、鮮やかなカラーとして現れる。それらは、鳥の声や、風や水の音など、自然に溢れる音や光と合わさり、絶妙なハーモニーを醸し出している。
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監督
アクタン・アブディカリコフ
製作
イリザイ・アリバエフ
セドミール・コラール
脚本
アクタン・アブディカリコフ
アヴタンディル・アディクロフ
マラト・サルル
撮影
ハッサン・キディリアレフ
出演
ミルラン・アブディカリコフ
アルビナ・イマスメワ
アディール・アブリカシモフ
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