4月18日(金)より
TOHOシネマズ シャンテ、シネマート新宿ほかにて
ロードショー!


INTRODUCTION
4Kで蘇る、エドワード・ヤンが描く現代社会の行きつく先の悲劇と希望
多彩な国籍の人間が割拠する90年代半ばの台北。レッドフィッシュをリーダー格とする4人組はお金も自由も愛も、思うがままに手に入ると信じている。ホンコンは女性をもてあそび、トゥースペイストはニセ占い師として稼ぐ日々。ある日、フランスからマルトという女性が台北にやってくる。新入りのルンルンはひそかにマルトに心を寄せ、彼らの関係が変化し始める。決して後戻りのできないところまで―。 エドワード・ヤンの<新台北3部作>の第2作にあたる『カップルズ』は、前作『エドワード・ヤンの恋愛時代』と同様に90年代の台北を舞台にしているが、コメディタッチの前作と異なり、本作では喜劇と悲劇が表裏一体となっている。現代社会において欲望を追い求めることに夢中となった先にある、悲劇と希望を描き出す本作は、約30年前の製作ながら、ますます現代性を帯びてきている。
ヴィルジニー・ルドワイヤンとの見事なアンサンブルで魅せる
エドワード・ヤン組キャスト
フランス人女性マルトを演じるのは、オリヴィエ・アサイヤス、クロード・シャブロル作品などに出演し、『8人の女たち』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞したヴィルジニー・ルドワイヤン。青年ギャング団には、『牯嶺街少年殺人事件』のチャン・チェン、クー・ユールン、ワン・チーザンといったエドワード・ヤン組が再結集し、ヴィルジニー・ルドワイヤンと見事なアンサンブルを見せている。

STORY
それでも、愛は存在できる?
急激な経済成長を遂げ、多国籍の街となった台湾の首都・台北。
レッドフィッシュ、ホンコン、トゥースペイスト、そして新人のルンルンは、4人組の青年ギャング団として“アジト”に集い、すべてみんなで分け合うというルールで行動している。リーダー格のレッドフィッシュの指揮のもと、ホンコンは女性をもてあそび、トゥースペイストは通称“リトルブッダ”としてニセ占いで稼いでいる。
彼らがいつものようにハードロックカフェで飲んでいると、フランスからやってきたマルトという女性と出会う。彼女はイギリス人デザイナーのマーカスを追っかけてきたのだった。 マルトに恩を売って、金儲けをしようと企むレッドフィッシュ、ひそかに彼女に心を寄せるルンルン。レッドフィッシュの父の借金返済を迫るヤクザが、レッドフィッシュとルンルンを間違えたことをきっかけに、彼らの関係は大きく変わっていくのだった――。
監督・脚本:エドワード・ヤン(楊徳昌)
Director and Script:Edward Yang
1947年11月6日中国・上海生まれ。49年に家族と共に台湾へ移り住む。幼少期に『ブラボー砦の脱出』(53)や『地上より永遠に』(53)などのアメリカ映画や手塚治虫の漫画に影響を受ける。69年に国立交通大学を卒業後、アメリカ・フロリダ大学で電気工学修士号を取得。その後、映画研究のため南カリフォルニア大学に留学するも内容に幻滅し、ほどなく退学。その後はワシントンでコンピューター関係の仕事に従事する。80年に台湾に戻ったヤンはユー・ウェチンの依頼で「1905年的冬天」の脚本に参加、映画界へ足を踏み入れることとなる。翌81年に女優・監督のシルヴィア・チャンが企画したTVシリーズ「十一個女人」の一作「浮草」を演出。82年にオムニバス映画『光陰的故事』の一話「指望」で監督デビューを果たし、それまでの台湾映画とは一線を画す作風は話題となり、当時『川の流れに草は青々』(82)が高く評価されていたホウ・シャオシェンらと共に“台湾ニューウェイブ”の代表格となる。83年に「海灘的一天(海辺の一日)」で長編監督デビュー。ホウ・シャオシェンを主演に迎えた『タイペイ・ストーリー』(85)でロカルノ国際映画祭審査員特別賞を受賞、続く『恐怖分子』(86)ではロカルノ国際映画祭銀豹賞、台湾金馬賞最優秀作品賞など多数受賞。BBCが1995年に選出した「21世紀に残したい映画100本」に台湾映画として唯一選ばれ、映画史に残る傑作として知られる『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(91)ののち、自身の製作会社「原子電影(ATOM FILMS)」を設立。舞台劇「如果(Likely Consequence)」(92)、「成長季節」(Period of Growth)」(93)の作・演出を経て、長編5作目となる『エドワード・ヤンの恋愛時代』(94)を発表。『牯嶺街少年殺人事件』のキャストを起用した青春群像劇『カップルズ』(96)、カンヌ国際映画祭監督賞を受賞した『ヤンヤン 夏の想い出』(00)の後、アニメーション作品「追風」を準備中の2007年6月29日、癌の合併症により死去。享年59。
CAST
ヴィルジニー・ルドワイヤン
as マルト
1976年11月15日生まれ。パリ出身。幼い頃からモデルとして活躍し、『冷たい水』(94/オリヴィエ・アサイヤス監督)でその高い演技力が評価される。『シングル・ガール』(95/ブノワ・ジャコー監督)、『沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇』(95/クロード・シャブロル監督)などに出演。『8人の女たち』(02/フランソワ・オゾン監督)では、ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞している。その他の主な出演作に『ザ・ビーチ』(99/ダニー・ボイル監督)、『静かなふたり』(17/エリーズ・ジラール監督)などがある。
クー・ユールン(柯宇綸)
as ルンルン
1977年4月28日生まれ。台北出身。父は映画監督のクー・イーチェン。子役として、父の初長編映画や『恋恋風塵』(87/ホウ・シャオシェン監督)に出演。『牯嶺街少年殺人事件』(91)では主人公の仲間・フェイジー役を務め、エドワード・ヤン作品には『ヤンヤン 夏の想い出』(00)にも出演している。その他の主な出演作に『ラスト、コーション』(07/アン・リー監督)、『あなたを、想う。』(15/シルビア・チャン監督)、『台北暮色』(17/ホアン・シー監督)などがある。
チャン・チェン(張震)
as ホンコン
1976年10月14日生まれ。台北出身。本作でレッドフィッシュの父を演じる名優チャン・クオチューを父に持つ。15歳の時に『牯嶺街少年殺人事件』の主人公・シャオスー役で映画デビューを果たし、その後も『ブエノスアイレス』(97/ウォン・カーウァイ監督)、『グリーン・デスティニー』(00/アン・リー監督)、『黒衣の刺客』(15/ホウ・シャオシェン監督)などアジアを代表する監督作品に多数出演。近年の出演作として、『DUNE/デューン 砂の惑星』(21/ドゥニ・ビルヌーヴ監督)がある。
タン・ツォンシェン(唐徒聖)
as レッドフィッシュ
1970年12月12日生まれ。台南出身。国立芸術学院戯劇科の最終学年ではエドワード・ヤンの映画クラスに在籍。京劇やミュージカル、パントマイムまで多彩にこなし、『エドワード・ヤンの恋愛時代』(94)にリーレン役で出演したチェン・イーウェンが監督した短編映画「暴力の情景」で孤独な若者の狂気を圧倒的なリアリティを持って演じ、その才能が評価される。その他にも、日本の人気コミックを台湾ドラマ化した「イタズラなKiss」シリーズに出演するなど幅広く活躍。
ワン・チーザン(王啓讃) as
トゥースペイスト
1977年7月15日生まれ。台北出身。児童劇団に所属していたところエドワード・ヤンに見出され、『牯嶺街少年殺人事件』の主人公の仲間・ワンマオ役を務める。その後、エドワード・ヤン監督作品プロデューサーのユー・ウェイエンが監督した「月光少年」(93)に抜擢されて主役を演じる。『カップルズ』での演技が高く評価され、1996年台湾金馬奨助演男優賞を受賞。その後も俳優のみならずスタッフとして映画に関わっていたが、現在は映画業界を離れている。
STAFF
監督・脚本:エドワード・ヤン
CAST
出演:ヴィルジニー・ルドワイヤン、クー・ユールン、チャン・チェン
タン・ツォンシェン、ワン・チーザン
原題:麻將
英題:Mahjong
1996年/台湾/1:1.85/120分 PG12
字幕翻訳:石田泰子
配給:ビターズ・エンド